京都大学野生動物研究センター  > 屋久島フィールドワーク講座  > 第7回・2005年の活動−サル班−感想 最終更新日:2005年月日

第7回・2005年の活動

サル班の活動 ー 感想

受講生の感想文

久保奈都紀

 屋久島での生活が夢だったのではないかと疑ってしまうほど、本当に充実した一週間でした。(ヒルにやられたところをポリポリとかきながら、夢でなかったと実感していますが…)楽しかった時間は、本当に早く過ぎてしまうもので、このまま時が止まってほしいと何度思ったことか…帰る日も、山に入りたい。屋久島の森、サル、シカに会いたいと思った。短足のおサルさん…私はあなたに会いに行きます。
サル班でサル・シカの調査の前に古道を探しに森に入りました。広い森の中で、本当に平坦で歩きやすい一本の道筋というものが見えるところがあるのです。その道をたどっていた時は冒険心・ワクワク感で胸がいっぱいになり、童心に戻った感じで、フィールドワークでしか味わうことの出来ない本当にいい経験をさせていただきました。また、出会ったサルやシカたちの様々な仕草や表情に何度も心を奪われました。私が森の中で見たサルで一番魅力的だったのが、なんといっても群れにはぐれてしまったメスザル。「ギャー、ギャー」と鳴き叫びながら二本足で立ち上がり、焦って、キョロキョロしている姿は本当にかわいかった。あのサルは仲間と合流できたのだろうか…仲間…そうだ。私はこのフィールドワークを通して全国各地にすばらしい仲間を得ることが出来ました。みんな好きなこと、興味のあることを夢中になって学んでいて、それぞれの考えを持った素晴らしい人達でした。そんな人を見上げる毎日の中で、多くのことを学びました。一番感じたことは…自分も積極的にもっと色々なことを学んで、自分の考えを持つべきだということ。これからの自分に生かしていきたいです。
最後に。こんなにすばらしい出会いの機会を与えてくださった講師の方々、上屋久町環境政策課の役場の方々に本当に感謝しています。神秘の島、屋久島…そこにあるすべての命あっての出会いでした。これからも世界中の人々を魅了にしていってください。楽しかった。そんなありきたりの言葉で表現するのがもったいないくらい素敵な一週間。お世話になった皆様方…本当にありがとうございました。

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関加奈子

  「屋久島に行って良かった。」感想を簡潔に表すならこの一言に尽きます。以前から憧れを抱いていたフィールドワークと世界遺産の屋久島、これが同時に経験できるフィールドワーク講座の掲示を見てときめきました。体力はないし虫が苦手な私にフィールドワークの適性があるかを見極めたい、そして未だに悩む将来のヒントになればいいなと思い参加しました。しかし結局全く事前学習をせずに臨んでしまいました。
初日からいきなり沢を登って森に入り、GPSはほとんど受信できないし、距離感覚もわからず、足元は滑るし、ただただ大変でした。昔の人がこの森の中を歩いて集落間を移動したとは信じられないほど険しく感じました。川原地区に調査地を変更してからは、緩やかな所も多く、少し楽になりましたが、結局最後まで体力的にはきつかったです。しかし、次第に森の中を歩くこと、サルやシカを見ることが楽しくなると、森の中の様子が少しずつ見えるようになり、はじめは鬱蒼とした森としか映らなかった景色の中に、動物や人間の存在の跡を感じられるようになりました。講師の先生方の洞察力にはとても及びませんが、最後は先生が見つける前にサル・シカを発見しようと躍起になっていました。
とても有意義な日々を過ごすことができ、一週間があっという間でした。観察中に気づいたことはもちろん、前から感じていた疑問やふと浮かんだあまり関係のない質問も、先生方にすぐに答えていただける恵まれた環境で、ヤクザルのことからフィールドワーカーの生き方まで聞くことができました。本当のフィールドワークでは独りで森に入ると思うと怖いですが、心配していた体力や虫はダメなりに何とかなりそうだと感じ、フィールドワークへの漠然とした憧れが少し現実味を帯びました。将来の方は、屋久島ですっかりサルの虜になってしまい、これから大学院で研究したいことにますます悩んでいますが…。
フィールドワーカーとして最前線で働く講師の先生方、すごくよく考えている個性的な受講生のみんな、生活の細かな面倒を見てくださったボランティアスタッフの竹内さん、この機会を作り支えてくださった上屋久町の方々に深く感謝しています。毎日の報告会や何気ない会話も含めて全てが刺激的でした。できればもっといろいろ話したかった。本当にありがとうございました。

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長谷川大也

長旅を終えて北国に戻って来ました。島から帰ってから暫くは「島時間」というか、何者にも追い捲られない自由な感じが体に染み付いていて、日常生活に戻るのが大変(笑)でした。そして、帰ってから会う人会う人、友達や家族に島の自慢を沢山しました。
講座は班の人たちは個性的で、大変楽しく、充実した1週間になりました。僕は農学部とは言うものの、畜産専攻なので、野生生物は全くの素人としての参加でしたが、大変勉強になったし、楽しい思い出になりました。何よりも、参加した一人一人のモチベーションがとても高く、貪欲な知識欲が、漲っていて普段の大学の講義の中では、なかなか見られないことでは、と思いました。先生が2人いらっしゃったので、道端で分からない植物があってもすぐに質問し答えてくださるし、たくさんのことを教えてくださいました。杉浦先生と田中先生には大変お世話になりました。2人の先生は対照的で学者肌の杉浦先生がS極、穏かな田中先生はN極な感じで、お二人がどんな関係なのか班の中で噂になっていたんですよ(笑)。西部林道の山道を歩き、サルとシカがこんなにも身近に見ることができたのは初めてでした。近寄って行っても逃げない個体が多くいて、観察はしやすいのですが、欲を言うなら余り人間慣れしてほしくないものです。また、沢の水が飲めるというのも水がきれいな証拠です。川原地区の炭焼釜跡や築港跡を見ましたが、急峻な山とアコウに囲まれたこのような自然条件の厳しい地に住んでいたのかー、と現代とのギャップを感じました。実際に住んでいた方々への聴き取りをすると面白いのかもしれませんね。
何よりも、先生方は屋久島を好きなのだな、ということが分かりました。僕にとっても屋久島は心の拠り所になりそうです。屋久島の大自然はこれからも大切に管理、保全していってほしいですね。これを機会にフィールドワークの面白さが分かりました。またこのような機会を見つけて参加したいと思っています。

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若松裕紀

  「現場の大切さ」
「百聞は一見に如かず」昔の人はよく言ったものである。フィールドワークの大切さを昔の人も十分に理解していたのだろう。屋久島でのフィールドワークは、まさに驚きの連続であった。
人々は知識をもとに考える。写真、他人の話などから想像することが多い。このような想像をしている本人は、想像していることがあたかも当然であるかのごとく考える。このことは、現場、本物、現状を見ず、ただ知識だけに考える材料を求めることから生ずる弊害である。現場には、客観的に考える材料がたくさんある。現場で得られる情報は、人の五感を用いた実際の経験に基づいているので情報の信頼性が高い。現場の明るさ、匂い、風、全てが自分の感覚を通じて、頭に記憶され、現場の印象となる。実際に現場を訪ねることで、はるかに記憶に残りやすくなる。
屋久島フィールドワーク講座では、現場で情報を集め、その情報を取捨選択し、まとめ、それから自分の考えを構築した。これらのプロセスを経験できたことは、貴重な経験となった。
各班毎日一人ずつ交替で、その日行ったことについて発表した。このことは、私に、より真剣に調査を行わせることとなったし、何よりも、他の人の前で発表し、質問に答えるという貴重な経験となった。発表するときには、事前に考えていたにもかかわらず、緊張してしまって、うまく話すことができなかった。質問に答える時には、先生や他の受講生の方から、的を射た鋭い質問が出され、答えるのに困惑した。自分の知識を全て生かした。班の仲間や先生方のお陰で自分の発表を終えることができた。本当にありがたかった。
普段の授業は受動的である。授業で質問することはあっても自ら主体的に現場で学ぶことはほとんどない。屋久島フィールドワーク講座で、自ら現場に行き、自ら体を動かし、自らの五感を総動員し、主体的に調査、考察したことは、大いに有意義であった。
先生方の熱心な、御指導、上屋久町役場の方々の親切な対応に感謝致します。

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このページの問い合わせ先:京都大学野生動物研究センター 杉浦秀樹