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Seminars in 2014

March 18, 2015 桜木 敬子 
研究計画と、その手前

■桜木 敬子■

「研究計画と、その手前」

タンザニアにおけるPhDプロジェクトの計画についてと、そこに至るまでの過程について、二部構成でお話しします。
後半が研究計画についてです。テーマは "Allocaretaking in wild chimpanzees of the Mahale Mountains National Park" です。

■小林 宣弘■

「ヤブイヌの音声に関する研究計画」

今回のセミナーでは、ヤブイヌの音声に関する研究計画について発表する。
またブラジル渡航報告に加えて、東山動物園と京都市動物園で行った調査による
ヤブイヌ音声研究の進行状況を報告する。

■沓間 領■

「ブラジル渡航報告及び今後の研究計画」

昨年10月から11月までの約2ヶ月間、ブラジル、マナウスに渡航し、
現地のアリゲーターの研究者とのミーティング及びcaptiveでのワニの
観察を行った。今回はその報告及び今後の研究計画について発表する。

1.■大谷 ミア■

「帰国報告」

2014年7月9日から11月21日までタンザニアで行った、ヒョウの音声に関する調査の報告をします。また、それを踏まえた今後の研究の予定を発表します。

2. ■松島 慶■

「渡航報告及びアルマジロ巣穴に関する研究の研究計画について」

昨年10月から11月において、ブラジル、アマゾニア州、マナウスに渡航を行った。今回の渡航は、自身の修士研究に向けての現地カウンターパートの依頼を行うことと、調査予定地を見ることで、詳細な研究計画の決定を行うことを目的としていた。今回の発表では、その渡航中に同行させていただいた保護林Adolpho
Duckeでの調査についてと、そこでの経験をもとに作成した、アルマジロ巣穴に関する研究の計画について紹介する予定である。

■Vanessa Wilson■

「Squirrel monkey personality and genetic polymorphism」

Personality assessment in nonhuman primates has been focused mainly on apes and Old World monkeys. Now research is beginning to assess personality divergence in New World monkeys, a step that is important to understanding trait divergence, and what determines species differences in personality. In this study, personality was assessed using the Hominoid Personality Questionnaire for 102 squirrel monkeys: 62 Saimiri sciureus and 40 Saimiri boliviensis. Principal components analysis determined four factors in each species, but structural differences in each species were apparent, which may relate to species differences in social structure. Here I present results for personality and discuss potential reasons for species differences. In addition we assessed genetic polymorphism in 3 genes which code for neurotransmitter proteins: dopamine receptor (DRD4) exon 3 region, serotonin transporter (5HTTP) promoter region, and mu-opioid receptor (OPRM1) exon 1 region for 14 sciureus and 22 boliviensis. Findings suggested repeat polymorphism for DRD4 and 5HTTP, and SNP polymorphism in OPRM1. I present preliminary findings for these polymorphisms and discuss future directions for this research in relation to personality.

■榊原 香鈴美■

「野生イルカの水中遊泳者への接近に関する研究」

海への入水が可能なウォッチングプログラムでは、水中で、野生イルカが遊泳者の近距離まで接近する様子がよくみられる。ウォッチングの正しい評価のためには、偵察・遊び・威嚇など、接近 で推測される様々な機能の解明が重要である。また、群れで生活する動物において、群れが異種と遭遇した際の行動を観察することは、社会構造を理解する上で重要な手がかりとなる。本研究では、ミナミハンドウイルカの遊泳者への接近を水中で直接観察し、性・成長段階ごとに分析することで、それぞれの機能と行為者を明らかにすることを目的とした。接近時のパルス音とのぞきこみ動作から、これらの接近には偵察的な機能があることが示された。また、これらの行為者は、出産経験のない親離れ後の若いメスでみられることが多かった。これにより、ミナミハンドウイルカの群れでは、若いメスが偵察役を行っていることが示唆された。

■岸田 拓士■

「ヒゲクジラ類の嗅覚能力とその進化」

我々哺乳類は、空気中に揮発する分子を認識する感覚として『嗅覚』を発達させた。従来、一生涯を海中で暮らす鯨類は嗅覚を持たないと考えられてきた。事実、現生のハクジラ類は(陸上哺乳類と相同な)嗅覚神経系を一切持たない。だが、ヒゲクジラ類は機能を持った嗅覚神経系を保持していることを、発表者らは以前に報告した。彼らの嗅覚能力は、陸上哺乳類のそれとはどのような点で異なるのだろうか。海洋性であるはずの彼らがどのような場面で嗅覚を必要としているのか。本発表では、鯨類の嗅覚に関して、これまでに解明されたことや、残されている課題を紹介したい。

■辻 紀海香■

「御蔵島に生息するミナミハンドウイルカのオスの個体間関係(研究計画)」

 ミナミハンドウイルカ(Tursiops aduncus)は、定住性で離合集散型の複雑な社会を形成する。オーストラリア西海岸のShark Bayに生息する個体群では、メスは流動的にメンバーを変える一方、オスは同盟関係を持つものがおり、伊豆諸島御蔵島に生息する個体群もメスに関しては同様である。オスは一部にはある程度決まったメンバーと同伴している個体がいることが明らかになっているが、同盟関係のような強い結びつきは確認されていない。
 また御蔵島および小笠原諸島、天草通詞島周辺海域に生息する個体群では、定住性でありながら他海域への移出が確認されている。移出は1~5頭で行われ、移出先で群れの合流・分裂が確認されているが、移出前後の個体間関係については明らかにされていない。
 そこで本研究では、御蔵島周辺および移出先におけるミナミハンドウイルカのオスの個体関係を明らかにすることを目的とする。そのために、群れ単位ではなく近接した個体をパラレルスイム(並行遊泳)等の社会行動を軸として観察する。これにより、本種の社会構造の一端が明らかになることが期待される。

■榊原 香鈴美■

「野生イルカの水中遊泳者に対する接近に関する研究」

野生イルカの水中遊泳者への接近は、偵察・威嚇・遊びなど様々な機能が推測されるが、それらについては明らかにされていない。例えば、遊びの機能をもつ接近の場合、その行動を観察することで、イルカにおいて新奇探索傾向の強い個体の特徴を定量的に明らかにできる。また、威嚇などの非親和的な機能の場合、形成集団における社会的役割についても示唆される。本研究では、接近の基礎的な情報を集め、イルカの遊泳者への接近頻度、接近時の特徴的な動作や、発現個体の性・齢期を明らかにし、それぞれの接近パターンの機能について検討することを目的とした。
 本研究では、東京都御蔵島周辺海域に生息し、個体識別がされている野生のミナミハンドウイルカ(Tursiops
aduncus)を観察対象とした。各接近を記載するために、遊泳者の前後を同時に撮影して、1個体を可能な限り連続的に観察した。接近時の遊泳者への反応として、エコロケーションと、遊泳者に視線を向け、近距離(約1m範囲内)前方を横切る動作に注目し、接近の機能について検討する。

1.■酒井 理■(動物行動学研究室)

【クローン動物(オガサワラヤモリ)の個性:発達にともなう個性特質の多様化】

個性は先天的要因と後天的要因の相互作用で形成されるが,それぞれの要因の影響を区別して調べた研究は少なく,特に個性の発達的観点からの研究が求められている.そこで,本研究では先天的要因の等しいクローン動物であるオガサワラヤモリを用いて個性の発達と多様化を調べた.
 まず,野外から捕獲した個体の隠蔽性と探索性に着目し,個性の特徴とされる時間的一貫性と文脈的一貫性の有無を調べた.実験では2つの文脈を刺激の前後と設定し,2度の実験を行った12個体において個性特質の確認
を行った. 隠蔽性においては個体ごとに異なる行動の傾向が2度の実験に一貫して確認されたが,刺激前後を超えて一貫していなかった.探索性においては時間的一貫性と文脈的一貫性のどちらも確認できなかった.この結果より,クローン動物のオガサワラヤモリにおいても特定の状況での隠蔽性には時間的一貫性が見られ,個性の違いが行動に現れていることが示唆された.そこで次に,56個体のオガサワラヤモリを体長に基づき3つの成長段階(幼体・亜成体・成体)に分け,それぞれのグループにおいての隠蔽性の程度のバリエーションを比較した.その結果,ほとんどの幼体は隠蔽性が低いが,亜成体と成体では隠蔽性の低い個体から高い個体まで存在することが分かった.これは,成長にともない個性特質が多様化することを示唆しており,多様化傾向は幼体から亜成体の間で特に顕著に見られた.このことは,成長過程の初期において個性が可塑的に変化しやすい段階が存在する可能性を示唆する

November 26, 2014(水) 13:30~ 

■西海 望■(動物行動学研究室)

「捕食者に発見された後に行われるカエルの不動戦術の機能」

捕食回避に隠蔽戦術を用いる被食動物の多くは、不動を行って捕食者をやり過ごすか、逃走を開始して逃げ切るかという選択に迫られる。一般に捕食者に見つかっている状況では、もはややり過ごすことに期待はできないため、接近されないうちに逃走を開始するべきだと考えられている。しかし、カエルは捕食者であるヘビに発見されていても直ちに逃げることはなく、ヘビの咬みつきが届く距離まで近づかれてから逃げ始める。この一見非適応的な行動について、対面実験の下で両者の攻防を分析したところ、捕食回避上の利点が二つ明らかになった。一つ目は、他のカエルにヘビの注意を逸らせることである。不動中のカエルに対するヘビの接近速度は移動中のカエルに対するものと比べ著しく遅く、その接近過程で他のカエルが現れヘビの注意が逸れると、ヘビは不動中のカエルの所在がわからなくなるということがわかった。二つ目は、ヘビに先制攻撃させることである。ヘビの咬みつきは直進性が高いため躱されやすく、かつ躱された後に隙が生じることから、カエルが後手に回って逃走した方が逃げきりやすいことがわかった。以上の二点から、たとえ捕食者に発見されていても、直ちに逃走を開始しないことは有効な捕食回避戦術になることが示唆された。

■水越 楓 Kaede Mizukoshi■
「調査報告及び修士研究計画:北海道沿岸に来遊するシャチの音響解析」

発表者は昨から、北海道東部の羅臼・釧路に来遊するシャチを対象に調査を行ってきた。
その報告と今後の研究の構想を発表する。

■博士論文構想発表会■

October 29, 2014(水) 13:30~ 

3.■吉田 弥生■

【イロワケイルカの音声行動に関する研究】

南米沿岸に生息する小型イルカ、イロワケイルカの音声の機能を、
飼育下および野生下における音声と行動の解析から探る。

4.■飯田 恵理子■

【西部タンザニア、ウガラ地域におけるブッシュハイラックスの生態と適応】

西部タンザニア、ウガラ地域に生息する小型哺乳類ブッシュハイラックスの
ミオンボ疎開林における生態からその環境への適応を探る。

■博士論文構想発表会■

October 22, 2014(水) 13:30~ 


1.■植田 彩容子■

【イヌ科動物、特にハイイロオオカミの視線コミュニケーションに関する研究】

イヌ科動物の顔の色彩パターンと他個体への凝視行動比較から、
視線シグナルを利用した同種間コミュニケーションの可能性を検討する


2.■中林 雅■

【ボルネオ島に生息する果実食性ジャコウネコ3種の採食生態】

ボルネオ島に生息する果実食性ジャコウネコ3種の共存機構について、
採食生態の観点から考察を行う

◻︎◼︎修士論文発表会◼︎◻︎
8月4日(月) 1330-1410 (発表30分質疑応答10分)

◼︎洪 琬婷Wan-Ting Hong◼︎
「飼育下スローロリス(genus Nycticebs)の糖質コルチコイドを影 響する諸因子の検討」
"Individual and environmental factors associated with hair cortisol and feca1 glucocorticoid metabolite levels in captive slow loris (genus Nycticebs)"

■水口 大輔 Daisuke Mizuguchi■

「飼育下アゴヒゲアザラシにおける水中音声の歌構造と行動文脈」
"Song structure and behavioral context of underwater vocalization in
captive bearded seals”

■洪 琬婷■

[Individual and environmental factors associated with hair cortisol and fecal glucocorticoid metabolite levels in captive slow loris (genus Nycticebus)]

Identifying and refining appropriate welfare measurement techniques is one of the most critical way to ensure acceptable standards of welfare in zoos. The activation of HPA axis and release of glucocorticoids are commonly used as physiological measures of welfare. Slow lorises (genus Nycticebus), compared with other diurnal or larger primates, have been receiving little attention and welfare concern. The study combines hormone analysis, behavioral observations and multi-institutional questionnaires to examine the relationship between corticoids, behavior as well as environmental and individual factors in captive slow lorises, hoping to enhance our understanding of the relationship between cortisol, behavior, and welfare, and to improve measurement of welfare in this species.

■水野 佳緒里 Kaori Mizuno■

ゾウの認知機能について、これまでに数々の報告(捕食者の声の種判別、道具の使用および修正、鏡像自己認識など)がなされてきた。発表者は博士研究において、アジアゾウのコミュニケーションの中でみられる認知機能について探る予定である。今回のセミナーでは、野生アジアゾウの社会構造に関する3つの研究を紹介し、さらに研究の構想を発表する。
 Fernando and Lande (2000)とVidya and Sukumar (2005)は、アジアゾウの社会的グループは、2~3頭の血縁関係のオトナメスとその子どものみで構成されると主張した。一方、de Silva, Ranjeewa and Kryazhimskiy (2011)は、社会的グループはそれよりも大きいと主張した。後者の研究より発表者は、アジアゾウは何らかのコミュニケーションにより複雑な社会を維持していると考えた。これを調べるために、1つの群れを対象とし、長期にわたる行動観察を行う予定である。調査地はスリランカのウダワラウェ国立公園、ピンナワラゾウ孤児院もしくはインドの国立公園を検討している。7月19日より、研究者(Shermin de Silva氏と、Raman Sukumar教授)および上記のフィールドに訪問し、実際にどのような方法を用いて研究できるかを検討する。

<紹介する論文>
Fernando and Lande, 2000, Molecular genetic and behavioral analysis of social organization in the Asian elephant, Behav Ecol Sociobiol
Vidya and Sukumar, 2005, Social organization of the Asian elephant in southern India infierred from microsatellite DNA, J. Ethol
de Silva, Ranjeewa and Kryazhimskiy, 2011, The dynamics of social network among female Asian elephant, BMC Ecology

■海外招聘者による自己紹介セミナー■

【インド科学大学院大学 Indian Institute of Science (IISc)】
Bharti Krishnamoorthy Dharapuram
Vani Dahiya

【国立アマゾン研究所 Instituto Nacional de Pesquisas da Amazônia (INPA)】
Waleska Gravena
Louzamira Feitosa Biváqua de Araújo

【マレーシア科学大学 Universiti Sains Malaysia (USM)】
Nur Munira binti Azman
Mohd Abdul Muin Md. Akil

【サバ大学 Universiti Malaysia Sabah (UMS)】
Sabilah binti Tahir

【タンザニア野生動物研究所 Tanzania Wildlife Research Institute (TAWIRI)】
Simula Peres Maijo
Chediel Kazael Mrisha