京都大学医学部附属病院では、2013年10月にブータン王国と医師の派遣等を定めたMOUを締結いたしました。 MOU締結から現在までの間に、医療派遣団を5回構成し、医師および看護婦ら医療スタッフの派遣を続けています。
活動情報
暮らし慣れた場所での健康・長寿(“Aging in Place”,”Optimal Aging")を目指し、生活習慣病や日常生活機能低下の予防をめざす「高齢者ヘルスケアデザインの構築」に取り組んでいます。
このプロジェクトは、1990年に高知において始まり、東南アジア諸地域で展開されてきた「フィールド医学」を高地住民に適用した、総合地球環境学研究所主導の「高所プロジェクト(2013年3月をもって終了.URL: http://www.chikyu.ac.jp/high-altitude/)」から始まりました。
まずは2010年9月から約半年間、タシガン県カリンの診療所へ坂本龍太氏(白眉センター助教, 医師)の派遣を行い、高齢者健診体制の礎を築きました。 健康を考えるうえで重要な13の老年医学的課題、すなわち Disability (日常生活機能障害)、 Diabetes (糖尿病)、 Dementia(認知症)、 Depression (うつ)、 Dental problems (歯科の問題)、 Isolation (孤立)、 Hypertension (高血圧)、 Alcoholism (アルコール依存)、 Visual problems (視力障害)、 Ear problems (聴力障害)、 Fall risk(転倒リスク)、 Urinary incontinence (尿失禁)、Nutritional problems (栄養問題) をそれぞれの頭文字から 5D, I HAVE FUN!と標榜し、高齢者健診を行う際の重点指標としました。
診療所に来られない高齢者には往診も行い、疾病の早期発見およびその後のフォローアップに注力しました。同時に、 現地の看護・保健師らへ健診手法のトレーニング(Training of Trainer: ToT)を行い、今後も持続可能なヘルスケア体制づくりにつとめております。
本プログラムは、ブータン保健省第11次5カ年計画にも採択され、現在、ブータン全土へ対象を広げて展開中です。
なお、東南アジア研究所・フィールド医学グループ(松林公蔵、奥宮清人、藤澤道子、和田泰三)は、白眉助教・坂本龍太氏ならびにURA・神谷俊郎氏の微にいり細にわたる論文・新聞収集と資料作成のおかげで、京都大学から推薦を受け、本邦・高知県、東南アジア、世界の高地、ブータンなどで展開してきた長年のフィールド医学的業績が認められ、平成27年度文部科学大臣表彰(科学技術部門ー理解増進分野)を受賞することができました。この場を借りて、関係各位に御礼を申しあげます(文責・松林公蔵)
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西澤和子氏(京大霊長類研究所研究員・医師)を2011年5月からブータンのティンプー王立病院へ新生児科医として長期派遣しています。
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ブータン文化講座
ブータンの仏教思想を様々な角度から研究し、その成果を一般の方々に発信する場として「ブータン文化講座」を開催しています。京都大学ブータン研究会
京都大学の学生や職員を交えた異分野横断型研究の場として「京都大学ブータン研究会」を開催しています。その他の活動情報
殺生を嫌忌する仏教国・ブータンでの、家畜の交雑利用およびその管理や、野生動物による農作物被害の防止に、遺伝子分析を用いた手法で取り組んでいます。
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