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京都大学霊長類研究所 > 2010年度 シンポジウム・研究会 > 第11回ニホンザル研究セミナー・要旨 最終更新日:2010年5月28日

第11回ニホンザル研究セミナー

発表予稿

山田 彩(農業・食品産業技術総合研究機構近畿中国四国農業研究センター)

ニホンザル猿害群の土地利用と遊動様式

近年、農作物被害を起こす野生ニホンザルが問題となっている。ニホンザル地域個体群の保全と被害軽減の両立を図るには、人為的環境を含む地域に生息する集団の生態に関する十分な知見が不可欠である。しかしながら、農作物加害群を対象とした土地利用や遊動様式の研究はほとんどない。そこで本研究では、農作物加害群の土地利用や遊動様式を明らかにすることと、その結果にもとづきニホンザルを対象とした生息環境管理手法について提案を行なうことを目的とした。
まず、常緑広葉樹林が優占する地域に生息する群れ(KH群)と、人工針葉樹林が優占する地域に生息する群れ(NB群)を対象として、冬季の土地利用を比較した。その結果、常緑広葉樹林内の成熟葉を利用できるKH群は常緑広葉樹林をよく利用したのに対し、森林内の食物資源量が乏しいNB群は農地とその周辺をよく利用したことが明らかとなった。これらの結果は、植生タイプの違いに起因する冬季食物資源量の差異が、農作物加害群の土地利用、とくに集落周辺の利用に影響を与えることを示していた。
次に、NB群を対象に、生物学的な要因である植生と物理的要因である斜面方位が遊動様式に与える影響の季節変化を検討した。その結果、集落と農地から一定距離内の区域(隣接区)は実際の植生にかかわらず通年よく利用されていたが、そのほかの植生タイプはどの季節も利用されなかったこと、環境条件が厳しい冬季は南側斜面をよく利用し北側の斜面を避けていたが、そのほかの季節には明確な傾向がみられなかったことが明らかとなった。これらの結果は、森林内食物資源量が乏しい生息地においては、食物資源量の季節変動が土地利用や遊動様式に与える影響が小さいこと、物理的環境の影響は厳しい条件下で明確になることを示していた。
最後に、これらの結果にもとづき、農作物加害群の生息地における広葉樹林面積の重要性を検討した。また、被害軽減のための具体的な生息環境管理手法として、集落や農地の隣接区にバッファーゾーンを設けることを提案した。

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望月翔太(新潟大学・院・自然科学),村上拓彦(新潟大学・農)

ニホンザルの生息適地推定 -1978年から2007年における29年間の変化-

ニホンザル(以下 サル)による農作物被害は, 1970年後半から広がった. それ以前は, 拡大造林や里山での人為的活動により, 野生動物の分布は奥山に限定されており, 地域個体群の分布範囲は限定されていた. しかし, 現在では我々の生活様式の変化に伴う里山環境の変化や, 里山エリアにおける人間活動そのものが減少したことにより, サルの分布は回復している. このような分布拡大による農作物被害, 生活被害が全国的に深刻化している. 各地で被害対策が実施されているが, 被害の減少に至っていない現状がある. 被害対策として, 加害群の生態的特徴や被害地の環境特性を明らかにし, 地域に即した対策を行うことが重要である. 同様に, 追い払いや捕獲駆除などの対処療法的な対策だけでなく, 長期的で広域スケールでの個体群管理や生息地管理を実施することが求められている. その際、どのような環境因子が野生動物の分布に関係するかを考慮し、生息適地の予測モデルを構築することが有効である.本論では, サルによる被害が少ない1970年代と被害が顕著である2000年代の2時期に着目した. 1978年のLANDSAT/MSSデータと2007年のALOS/AVNIR-2データを用いて, 2時期のニホンザル生息適地マップを構築し, 29年間における変化を評価することを目的とした. 生息地の変化からサルの生息適地の変化を予測し, 現在の分布状況に至った過程を考察した.
 サルの生息適地に関係する環境要因を抽出するため, ALOS/AVNIR-2(2007/08/12)データに対し, オブジェクトベース画像分類とCARTモデルを組み合わせ, 2000年代の土地被覆を表す植生図を作成した. 植生情報と標高データ, 気候データを加え, これらから環境要因を選択した. サルの生息適地推定には一般化線形混合モデル(GLMM)を用いた. 位置情報を目的変数とし, 在/不在の二項分布を仮定した. 説明変数には, 植生, 地形, 人為的要因から9つの変数を選択した. 総当たり法によりAICを算出し, 最適モデルを構築した. そして, モデルから2000年代の生息適地マップを作成した. また, 過去の生息適地マップの構築に関して, LANDSAT/MSS(1978/08/12)とALOS/AVNIR-2(2007/08/12)から変化抽出を行い, 1970年代の土地被覆を表す植生図を作成した. 先述した生息適地モデルを過去の植生図に外挿することにより, 1970年代の生息適地マップを構築した. 最終的に, 過去と現在の生息適地の変化を評価した.
 2時期の植生図を比較し, 土地被覆の変化を抽出した結果, 農地面積は1978年から2007年にかけて減少し, 住宅地の面積は増加した. また, 広葉樹林から針葉樹林への変化, 針葉樹林から広葉樹林への変化点も多くみられた. AICによりモデルの適合度を評価した結果, 最適モデルは植生因子である針葉樹の割合と林縁からの距離, また人為的影響の因子である農地面積の割合と住宅地の割合から構成された. AIC上位モデル全てに, これらの因子は寄与していた. 2007年の植生図から変数を算出し構築した生息適地マップと, 最適モデルを基に1978年の植生図に外挿した生息適地マップともに林縁付近が高い生息適地となった. より森林内になるほど, 生息適地は減少した. また, 1978年から2007年にかけて, 大きく生息適地が変化した場所が存在した. 1978年から2007年における, 高い生息適地を示すクラス8, 9, 10の面積を比較したところ, クラス8, 9は増加し, クラス10は減少した.
 植生図の比較から, この地域では29年の間に土地利用や植生に変化が生じたことが明らかとなった. 特に, サルの生息地である森林内では, 針葉樹林の面積が減少していた. 一方, サルの生息適地は1978年から2007年にかけて増加傾向にあった. これは, サルの行動を抑制する針葉樹林が管理放棄により減退したためであると推察される. 過去から現在にかけて, 針葉樹林の変化により, 局所的に存在していた生息適地が分散, 拡大したと考えられる. 本論の結果から, 29年間における植生の変化により, サルの分布が変化したことが示唆される. それにより, 対象地内全域で農作物被害が生じるような広域的な分布になったことが推察される.

その結果、選択可能な場面と選択不可能場面ではグルーミングの分布が異なり、選択可能な場面では、血縁個体、高順位個体、親和的な個体への指向性が明確に現れた。特に交渉相手が高順位個体の場合、全体のグルーミングは高順位個体に偏っていなかったにもかかわらず、交渉相手が選択可能な場面では有意に高い割合で高順位個体を選んでいた。 これまでの先行研究では、交渉相手の選択肢が非常に狭く、望ましい相手と交渉がもてなくなっている可能性がある。しかし、選択が可能な場面では、個体の交渉相手の選択に際しての意思決定の結果がより明確に示されているということが、本研究により明らかになった。

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郷 もえ(京都大学霊長類研究所)

グエノンの行動域利用と混群形成

多くの霊長類にとって、生息環境は行動域の利用に大きく影響を与えることが知られている。今回の発表では、ニホンザルと同じオナガザル亜科に属するグエノンに着目し、複数種が同所的に生息している環境において、それぞれの種がどのように行動域を利用しているのかを紹介する。
同所的に複数の霊長類種が生息している地域では、異なる種どうしが共に遊動する “混群”が報告されている。同所的に生息する複数種の資源利用と遊動パターンから、どの種とどの種が混群を形成し、混群を形成する種どうしの食物品目や利用する高さは似ているのかを明らかにした。ウガンダ共和国カリンズ森林に生息する3種のグエノンのうち、ブルーモンキー(Cercopithecus mitis)とレッドテイルモンキー(C. ascanius)は長時間混群を形成し、ロエストモンキー(C. lhoesti)は上記2種とは独立して遊動していた。食物品目や利用する高さは混群を形成する2種間でより似ており、異種が長時間混群状態を維持するためには、異種間の資源利用が似ている必要があると考えられた。  また、カリンズ森林に生息するブルーモンキーとレッドテイルモンキーの混群は、混群相手が変わらないアフリカでは珍しいタイプの混群であった。2種ともにお互いのアラームコールに反応していたことから、混群形成は捕食者回避がひとつの要因だと考えられた。より捕食圧が高いと考えられているレッドテイルモンキーは、ブルーモンキーとの距離を近づけるために移動速度を速めており、より積極的に混群を形成していると考えられた。混群の進行方向に対して、レッドテイルモンキーが後方を移動していることが多く観察されたが、レッドテイルモンキーはブルーモンキーとの近接状態を保とうとするために、後方になってしまうと考えられた。また、混群を形成する2種間の距離は、行動域の境界付近でより近接している傾向がみられ、隣接群に対して混群が攻撃的な行動を取ることも観察された。常に同じ相手と作る混群には、対隣接群への資源防衛という機能もあると考えられた。

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谷口 晴香(京都大学大学院 理学研究科)

下北半島のニホンザルにおける母親の採食品目がアカンボウの採食行動に与える影響

ニホンザルでは春に出産があり、生後6カ月を過ぎると母親のミルクの分泌量が半減するため、1年の中で最も厳しい冬を未熟なアカンボウがすでに自力で採食を行う必要が生じている。
本研究では、積雪地域である下北半島の野生ニホンザルを対象に、アカンボウの採食行動について以下のような予測を立て、その検証を試みた。1)アカンボウは母親と比較して、容易に手に入り処理しやすい品目をより多く採食する。 2)母子間で採食時間割合に違いが生じなかった品目を母親が採食しはじめた場合はアカンボウも近くで同じ品目を採食し、母親がアカンボウのあまり利用しない品目を採食しはじめた場合にのみアカンボウは母親から離れ、母親があまり利用しない品目をアカンボウ同士集まって採食する。
本研究は2008年11月から2009年3月に青森県下北半島の南西部に生息するA-87群の母子4組を対象に行った。あらかじめ追跡する個体を決めておき、アカンボウとその母親がともに視界内にいる場合は母子両個体を、アカンボウとその母親が視界外に離れてしまった場合は母子いずれかの行動を記録した。また追跡個体の2m内の個体に関してもその行動を記録した。また、各食物品目の評価を行うため、行動観察によって、品目の大きさと口に入るまでに必要な操作数を、植生調査によって、樹冠直径と樹高を記録した。 分析の結果、次のように予測とおおむね一致する結果が得られた。1)母子間には採食品目の選択性に違いが認められ、アカンボウは母親に比べ高い位置にある品目は避け、1口で採食できる品目を好んで採食していた。2)母親が母子ともに採食する品目を採食した際には、アカンボウは2m内で母親と同じ品目を同時に採食していることが多かったが、アカンボウに比べ母親がより採食する品目を採食した際には、アカンボウは母親から離れて母親に比べてアカンボウがより採食する品目を同世代の他のアカンボウや1-3才の個体とともに採食したり、他の行動することが多かった。
以上の結果から、身体能力、食物処理能力が未熟なアカンボウにとって入手や処理の困難な品目の採食をたとえ母親から離れることになっても回避する一方で、その必要のない品目の採食では母親の近くにとどまることで授乳や保護を受けられる機会を増やしていたと考えられる。また、アカンボウが母親と離れた際に、近い年齢の個体同士で集まって同じ品目を採食することは、それにより群れからはぐれる危険を回避している可能性を示唆している。積雪地のニホンザルのアカンボウは、母親の採食品目によって行動を変えることで、ときに齟齬が生じることもある栄養および安全に対する要求をうまくバランスをとりつつ冬を越していることが明らかとなった。

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大西賢治(大阪大学大学院人間科学研究科)

母子が離れた場面におけるニホンザル母子の相互交渉

サル類において、生後初期の子ザルはほとんどの時間を母ザルに接触して過ごすが、成長するにつれて母ザルから離れて過ごすようになる。母ザルから離れると子ザルはより危険になるため、母ザルは子ザルに対してモニタリング行動(視線を向ける行動)を行って子ザルが危険な状況にないかを確認し、危険な場合には回収して保護する。一方で、母ザルは採食を行ったり他個体と関わったりといった他の活動も行う必要があるため、常に子ザルに注意を向けていられるわけではない。このように、母子が離れた場面では、子ザルの保護に関わる母ザルの投資と母ザルが行う他の活動の間にトレード・オフの関係が存在する。本研究では、7-18週齢の子ザルとその母ザルを対象に、母子が離れた場面において、ニホンザル母子がどのような相互交渉を行っているのかを調べ、母子それぞれが、どのようにトレード・オフに対処しているのかを検討した。
母ザルは何を手がかりに、どのように子ザルの保護への労力を配分しているのかを検討するため、母ザルから子ザルへのモニタリング行動を分析した。その結果、餌付け群である本研究の対象集団では、母ザルは捕食や子殺しといった外的な驚異よりも、集団内の他個体によるハラスメントや誘拐といった集団内の脅威をより警戒していた。また、母ザルが子ザルの保護の為に費やす労力と採食、毛づくろいなどの重要な活動の間にはトレード・オフの関係が存在したが、母ザルは、子ザルが集団内の脅威にさらされやすい状況下では、たとえ自分が重要な活動を行っていても高頻度で子ザルを見ていた。このような傾向は、高順位の母ザルに比べて中・低順位の母ザルに顕著であり、これは中・低順位の子ザルがより集団内の脅威にさらされやすいという傾向を反映していた。さらに、子ザルの周囲にいる個体の属性が、母ザルの子ザルへの保護に影響を与えており、母ザルは子ザルと関わっている第三者個体が誰なのかによってモニタリングの頻度を変化させていた。
子ザルは母ザルに対して授乳や保護などの投資を求める音声を発する。母子間で投資量を巡る駆け引きが行われているのかを検討するため、母子が離れた場面において、子ザルが危険を感じたときに発する鳴き声とその鳴き声に対する母ザルの反応性(子ザルへのモニタリング行動、子ザルを回収に行く行動)を分析した。その結果、子ザルは母ザルを操ってより多くの投資を引き出すような信号は発しておらず、子ザルの音声信号が単に母ザルの注意を喚起するために発信されている可能性が示唆された。また、母ザルは、子ザルを保護するために回収に行く必要があるかどうかを、子ザルがどのような状態であるかというよりも自分が行なっている行動に照らして判断していることが示唆された。つまり、子ザルは正直に鳴き声を発しており母ザルはその鳴き声に反応して高頻度で子ザルを見るが、子ザルを保護するかどうかを決定する主導権は母ザルが持っているようであった。
母ザルが子ザルに対して行なう養育行動には母ザルごとに個性があり、この母ザルの養育行動に見られる多様性の分類を子育てスタイルと呼ぶ。サル類を対象とした多くの先行研究が、子育てスタイルを保護性、拒否性という2つの次元によって分類してきた。また、この母ザルの子育てスタイルは子ザルの行動に影響を与えることが知られている。母子が離れた場面と母子が接触した場面で母ザルの子育てスタイルに一貫性があるのかを検討した結果、保護的な母ザルは子ザルを見る頻度や子ザルの鳴き声に対する反応性が高い事が示唆された。また、保護性の低い母ザルの子ザルは母ザルをモニタリングする時間が長い傾向があった。母ザルは母子が離れた場面においても一貫した子育てスタイルを示し、子ザルは母ザルの投資量に合わせて行動を変化させている可能性が示唆された。

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矢野 航(京都大学大学院 理学研究科)

ニホンザル2亜種の胎児期における頭蓋顔面形態の成長

ニホンザル(Macaca fuscata)には、屋久島に生息するヤクニホンザル(Macaca fuscatayakui)とそれ以外の日本列島(北海道を除く)に生息するホンドニホンザル(Macaca fuscatafuscata)の2亜種が存在し頭蓋形態に違いがあることが報告されている。この違いが形成される過程を解明するため、胎児期と生後にわたる成長期において、両亜種の頭蓋形状の成長を横断的に分析した。胎児液浸標本は日本モンキーセンター(JMC)、成体標本はJMCおよび京都大学自然人類学研究室所蔵のものを用いた。昨年度と本年度で、両亜種の胎児標本32体(ホンドニホンザル18体、ヤクニホンザル14体)、成体標本55体(ホンドニホンザル27体、ヤクニホンザル28体)の頭蓋を断層撮影した。撮影した断層画像から3次元立体像を再構成し、この像の上で、成体では計49点、胎児では計68点の3次元座標を取得した。これらの座標をもとに、幾何学的形態計測学と呼ばれる統計手法で解析し、成体における形状差、および胎児期における成長に伴う形状変化傾向を抽出した。この結果、(1)成体においてサイズと形状において明瞭な亜種間形態差があること(2)胎児発達初期において、胎児期前期に成体での亜種間形状差がすでに形成されていること(3)亜種間形状差形成以降の胎児期で両者の成長様式が共通していることがしめされた

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Naofumi NAKAGAWA (Lab. of Human Evolution Studies, Graduate School of Science, Kyoto University)

Intra-specific differences in social structure of the Japanese macaques:theoretical aspect.

Among female social categories in the current socioecological models, the contrast of resident-nepotistic(-despotic) female social relationship with dispersal-egalitarian one have been successfully validated through comparisons of closely related species. This leads us to understand social adaptation of the species to the past environments under phylogenetic constraints. In recent years, they have begun to apply the socioecological model to the intra-specific difference in social structure (despotic v.s. egalitarian). Such intra-specific variations may provide evidence for social adjustment of the species to the current environment. On the other hand, inters-pecific contrast of resident-nepotistic(-despotic) female social relationship with resident-nepotistic-tolerant one in genus Macaca have been said to determined by phylogeny. In this review, firstly, we retrace the intra-specific difference in social structure of Japanese macaques at the early stage of Japanese primatology from cultural viewpoint. Secondly, we review it, especially the dominance style among females from socioecological viewpoint. Thirdly, we reconsider the intra-specific difference in dominance style among Japanese macaque females from various viewpoints, including genetics. Lastly, we propose future works to be done. This review attempts to combine “ongoing” scopes with “old-fashioned” idea, and to produce “upcoming” scopes of studies on intra-specific difference in social structures.

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山田一憲・井上-村山美穂(京都大学野生動物研究センター)

ニホンザルにおける社会構造の種内変異:実践編

ニホンザルが示す寛容性の程度は、集団によって異なることが知られている。30年前に実施された先行研究では、淡路島集団(兵庫県洲本市に生息)は、勝山集団(岡山県真庭市に生息)と比べて、より寛容な集団であることが示されている(Koyama et al. 1981)。このような寛容性にみられる集団間変異は、ニホンザルにおける社会的な文化といえるのだろうか?もし、寛容性の集団間変異がニホンザルの文化であるならば、(1)寛容性という行動特性が次の世代へ伝達されること、(2)伝達のメカニズムが、遺伝子ではなく、社会的学習によるものである必要がある。本研究では、第一に、勝山集団と淡路島集団を対象とした先行研究と同様の給餌実験を新たに実施し、集団間の寛容性の違いを評定した。給餌実験とは、それぞれの集団の餌場に描いた直径8mの円内に広く小麦をまき、その円の中で小麦を拾って食べたサルの頭数とその際に生じた争いに関連した音声の数をカウントする実験のことである。給餌実験の結果、淡路島集団は、勝山集団と比較して、個体の密度が高くてもケンカが生じにくい寛容な集団であることが明らかになった。ニホンザルの寿命は約20年であり、それぞれの集団のメンバーは30年前と全て入れ替わっている。この結果は、寛容性という行動特性が、次の世代に引き継がれていることを示している。第二に、勝山集団と淡路島集団の間で、攻撃行動に関連する遺伝子に違いが見られるかどうかを検討した。ニホンザルにおいて多型が見られた2つの候補遺伝子に関して、勝山集団と淡路島集団の間でアリル頻度に有意な偏りが見られた。この結果は、淡路島集団が示す特異的な寛容性に、遺伝的背景が存在する可能性を示唆している。

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ポスター発表

菅谷和沙(神戸学院大学)

ヤクシマザルのアカンボウ期における音声使用

 ニホンザルのアカンボウの音声産出に関しては多くのことが知られている。先行研究では、単独で飼育されているアカンボウは欲求不満状態にあるために発声頻度が高く、音声レパートリーが多くなること、アカンボウ期にはどの個体の音声もほとんど同じであるが、発達段階に応じて音声レパートリーの出現や消失が起こることなどが明らかにされてきた。また、母親のパーソナリティに応じて発声頻度や音声産出のパターンに個体差が生じるといわれている。しかしながら、どのような文脈でどのように音声を出すかという音声使用の社会的発達に関してはほとんど知られていない。
 そこで、屋久島に生息する野生ニホンザルのアカンボウを対象に、生後3ヶ月目までの音声使用の社会的発達を調べた。その結果、生後1週目には不安定な姿勢になったときや、衝撃を受けたときなどに発する叫び声が大部分を占めていたが、生後2週目にはオトナオスの威嚇の音声を聞いたときにも叫び声を発するようになった。生後3週目には母親との交渉において叫び声や呼び声を発したり、他個体との交渉において叫び声を発したりするようになり、遊動中には平静な音声を発していた。その後、他個体に接近する際や毛づくろいの前などにも音声を発し始め、母親と他個体の関係に応じて音声を使い分けるようになった。アカンボウの音声は、反射的な音声から自発的な音声へと変わるとともに、社会的な文脈に応じて選択的に使用されることが示唆された。

奥村忠誠・清水庸・大政謙次(東京大学大学院農学生命科学研究科)

ニホンザルの分布拡大に影響を与える要因の推定

近年,全国でニホンザルの分布拡大が確認され,それに伴い農林業被害地域も拡大し,大きな社会問題となっている。そのことから,分布拡大に影響する要因を把握することは被害拡大防止の一助になると考え,さらに,分布拡大の要因が個体群を安定的に維持できる生息地からの距離に影響されることを仮定した。そこで,本研究では異なる解析対象範囲を用いて解析することで分布拡大の要因把握を試みた。
ニホンザルの分布データは環境省の自然環境保全基礎調査の第2回(1978年)と第6回(2003年)を用い,解析対象範囲は本州,四国,九州とした。本研究では第2回と第6回の両時期に分布していたメッシュを安定メッシュ,第6回のみに分布していたメッシュを拡大メッシュと定義した。解析対象範囲の設定では安定メッシュに連続的に接するすべての拡大メッシュに対して最近接安定メッシュまでの距離を算出し,距離の統計量をもとに3つの解析対象範囲を設定しモデルを作成した。また,範囲を絞らない全域を対象とした2つのモデル(説明変数に距離を含むモデルと含まないモデル)も作成した。要因の推定はそれぞれの解析対象範囲ごとに行い,統計手法として誤差分布を二項分布,リンク関数をロジットとした一般化線形モデル(以下,GLM)を用いた。GLMの説明変数には,標高・積雪・植生・土地利用・人口・道路に関する変数を用い,応答変数の在/不在には,異なるそれぞれの解析対象範囲内に含まれる拡大メッシュと非拡大メッシュを用いた。
全域モデルでは広葉樹林が最も大きな正の影響を与えており,広域スケールでは広葉樹林がニホンザルの分布を決定していることが示された。しかし,範囲を絞ったモデルでは広葉樹林は選択されずに,他の要因の影響がみられた。特に,針葉樹林と耕作放棄地については全てのモデルで選択され,分布拡大との関係が強いことが示唆された。針葉樹林は泊まり場として,耕作放棄地は餌場としての利用が考えられた。また,耕作放棄地周辺では泊まり場や隠れ場を必要とすることが多いと考えられることからこれらの組み合わせが,集落周辺への分布拡大と被害を助長していると思われた。これらのことから,分布拡大の制御には,集落周辺での土地利用や環境整備が重要であると考えられた。

鋤納有実子・大西 賢治・中道 正之(大阪大学大学院人間科学研究科)

餌付け集団の1歳齢子ザルにおける母の子育てスタイルと子の社会的相互交渉

複雑な社会集団を形成するニホンザルにおいて、最初の他者である母ザルとの関係は、その後の子ザルの社会関係の形成にとって重要である。母ザルと子ザルが比較的密接な関わりを持ち続ける生後半年までの時期において、母ザルの子育てスタイルが保護性と拒否性という独立した2つの次元で表されることは、すでに多くの研究で報告されている。しかし、子ザルは1歳齢を過ぎてもニップルコンタクトや運搬などにおいて、母ザルとの関わりを持つ。本研究では、母ザルとの関わりが少なくなった1歳齢子ザルに対する母ザルの子育てスタイルが、0歳齢子ザルに対する母ザルの子育てスタイルと同様に、保護性と拒否性の2つの次元において確認できるか否か検討した。さらに、子ザルが母ザルから離れて他個体との社会的な関わりを増加させる1歳齢の時期に、母ザルの子育てスタイルが子ザルの社会的な関わりに及ぼす影響について検討した。
嵐山ニホンザルE集団の1歳齢個体全11頭(オス7頭、メス4頭)を本研究の対象とした。個体追跡サンプリング法を用いて観察し、母子の相互交渉と子ザルの他個体との相互交渉を記録した。1セッション20分間の観察を、1個体につき30セッション行った。観察は、2009年7月14日から2009年10月15日までの32日間に、合計330セッション行われた。個体間の凝集性が高まる給餌小屋付近における観察データは、本分析から除外した。
母子相互交渉のデータをもとに主成分分析を行い、0歳齢の子ザルを対象とした先行研究と同様に、母ザルの保護性と拒否性の成分が抽出された。本研究結果から、母ザルの子育てスタイルは、子ザルが1歳齢の時点においても、保護性と拒否性という互いに独立した性質によって規定されることが明らかになった。また、母ザルから保護性の強い子育てを受ける1歳齢の子ザルは、他個体からinfant handlingを受ける生起頻度が低く、平均接触個体数が少ないことが明らかにされた。一方、母ザルから拒否性の強い子育てを受ける1歳齢の子ザルは、他個体からinfant handlingを受ける生起頻度が高いことが明らかになった。しかし、社会的遊び生起率には母ザルの子育ての保護性・拒否性による有意な差がみられなかった。本研究結果から、母ザルの子育てスタイルは子ザルが1歳齢を過ぎても子ザルの社会的な関わりに影響を与えるが、社会的な行動の質や相手によって影響の大きさが異なることが示唆された。

上野将敬・中道正之(大阪大学大学院人間科学研究科)

勝山ニホンザル集団における毛づくろいの催促に対する反応

 霊長類の社会では、互恵的な毛づくろい関係が重要である(Schino & Aureli, 2010)。互恵的な毛づくろい関係には、長期的な交渉が重要であると言われているが、サルは毛づくろいをしてもらうために、短期的には、どのような行動戦略を用いているのだろうか。本研究では、ニホンザルが、どのような場合に、相手からの催促に応じて毛づくろいを行っているのかを明らかにして、互恵的な毛づくろい関係のメカニズムについて検討した。
 餌付け集団である、勝山ニホンザル集団(全137頭、5歳齢以上のメス:56頭、5歳齢以上のオス:9頭、子ども:72頭)のうち、5歳齢以上のメスを対象に行動を観察した。15頭のメスについて、1セッション30分の個体追跡観察を、1頭あたり10セッションから13セッション行った。観察期間は、2009年10月6日から2010年3月28日までであった。その期間に65日の観察を行い、総観察時間は82時間であった。
 ニホンザルが、毛づくろいの催促をしたときに、実際に毛づくろいしてもらえるかどうかは、相手との関係や、催促を行う文脈によって異なるということが明らかとなった。親密な個体間では、どのような場面で催促をされても、相手に毛づくろいを行うことが多い。個体間の関係があまり親密ではない場合には、催促をしても毛づくろいしてもらえないことが多く、最初に自分から毛づくろいした後でなければ、あまり催促に応じてもらえない。これは、ズルを防ぐためには有効な戦略であると考えられる。また、親密でない個体間では、相手が毛づくろいをしてくれたことに対する報酬としての行動は、強く働くのではないかと考えられたが、少なくとも毛づくろいによっては行われていないようであった。見返りがなかったとしても、親しい個体に対して協力的に行動するということはチンパンジーで報告されている(Yamamoto et al., 2009)。本研究は、利他行動に関して、ニホンザルも、チンパンジーと共通する心理的基盤を持っていることを示唆している。

吉田 洋(山梨県環境科学研究所・研究員)

サル追払い時におけるモンキードッグの移動追跡

近年,ニホンザル(Macaca fuscata)による被害を軽減するために,全国各地でモンキードッグ(サル追払い犬)の導入が進められている。しかし,放した後のモンキードッグの行動を目視により観察し続けるのは難しい。そこで本研究では,GPSテレメトリーによりモンキードッグの行動学的知見を得ることにより,被害防除の有効性について考察することを目的とした。
 調査は2008年12月~2009年8月に,山梨県南都留郡富士河口湖町船津地区で行った。集落や農地での野生ニホンザル群の目撃が通報されるとすぐに,5秒ごとに測位するように設定したGPSロガー(i-gotU GT100, Mobile Action Technology, Taiwan)をモンキードッグ「ラッキー(4歳・紀州犬系雑種・オス)」に装着し,サルを目視できる地点で放した。なお調査は,サルのオトナメスに装着したVHF発信器(ATS-M2950, Advanced Telemetry System, U.S.A.)の発信音が微弱になり,かつモンキードッグが飼育員に戻った時点まで行った。
 調査の結果,調査期間中のモンキードッグ「ラッキー」の出動回数は13回で,GPSの測位率は100%と大変高かった。さらに,サル追払い時のモンキードッグ平均出動時間は65分,平均走行距離は5.3km,平均標高差は77m,平均最高速度は26.5km/hrであった。ニホンザル追い払い時における「ラッキー」の移動軌跡をみると,放逐地点である集落から標高が約120m高い地点まで行って,サルを追いかけていた。さらに,集落への野生ニホンザル「吉田群」の出没間隔を見ると,追払いを始めた当初の12月~1月には,ニホンザルは1~15日間隔で集落に出没していたが,4月以降には16~69日間隔と,追払い期間が経るにつれ,集落への出没の間隔が長くなった。
 モンキードッグによる追払いが始まる以前は,ニホンザルは人家や畑のすぐ裏にある森林において集落の様子をうかがい,安全が確認されると,集落に出没する行動様式をとっていた。これがモンキードックによる追払いが始まると,集落に近い林縁にいるとイヌに追いかけられるため,サルが集落の安全を十分に確認できなくなった。これによりニホンザルが,モンキードッグが活動する集落を徐々に忌避し始め,集落へ出没する頻度が減り,出没間隔が長くなったものと考える。また,ニホンザル追い払い時における「ラッキー」の移動軌跡をみると,放逐地点である集落から標高が約120m高い地点まで行って,サルを追いかけていた。これをサルが出没するたびに地域住民が行うのは,労力が多すぎ困難である。そのためモンキードッグは,追払いを省力化するツールであるといえる。

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辻 大和・和田一雄・渡邊邦夫(京都大学霊長類研究所)

ニホンザルの食性の把握:既存資料を用いたアプローチ

採食は霊長類の基本的な行動で、その影響は土地利用・種内関係・種間関係・種子散布など、あらゆる行動・生態に及ぶ。ゆえに、未知の動物に接した場合、研究者はまず対象動物の採食行動から調査を開始することが多い。一年間の野外調査を行えば、一応の食物リストは完成する。では、このリストの情報が対象動物の食性を反映したものとみなして、直ちに応用的な研究(たとえば最適理論の検証、種子散布の研究、保全、農作物被害問題についての研究)を行うべきだろうか?答えは「ノー」である。対象動物の食性は、季節的だけではなく、食物環境の年次変化に応じて年次的にも変化するし、人為的な影響や突発的な自然現象に応じても変化する。つまり、ある時点での食性が別の時点での食性とは限らない。ゆえに、短期的な調査の結果を、応用研究を遂行する際の根拠とした場合、時として不適切な解釈を導く危険がある。長期間の調査を実施しさえすれば、食性の実態に迫れることは、誰もが容易に想像できる。しかし、時間や予算の制約の中で、それを実現することは不可能である。では、一体何年間の調査を実施すれば、応用研究を始める判断のベースとなる食物リストが完成するのだろうか?残念ながら、現時点でその答えは見つかっていない。
 ニホンザルはわが国の固有種であり、戦後から現在に至るまで、彼らの食性についての資料は日本各地から報告されてきた(※2010年4月現在までに発表者らが把握している資料数は、40の調査地から113)。都合の良いことに、このうち19の調査地では複数の資料が異なる年代に公表されており、中でも11地点(下北、金華山、志賀高原、房総、日光、箕面、臥牛山、高崎山、幸島、屋久島海岸部、屋久島高標高部)では5編以上の資料が公表されているため、調査開始からの経過年数と食物品目数の関係を評価できる。そこで本研究では、これまでに公表さたニホンザルの植物性食物についてのデータを整理するとともに、とくに11の調査地については調査期間と食物リストの充実度の関係を明らかにすることを試みた。
 分析の結果、地域変異はあるものの、ニホンザルが食物として利用する植物種数は100-200、食物品目数は200-500、主要食物品目数は50-200であった。いっぽう、食物リストに新たに加わる植物の増加が頭打ちになるのは、最低でも調査を開始して5年目ということが分かった。全世界で行われている霊長類の野外調査の平均継続年数が1.5年であることを考えると(Dobson and Lyles 1989)、現状の食性研究は対象動物の食性の季節変化のみに関心が置かれがちで、食性の年次的な変動を把握する努力は十分ではないといえる。

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鈴木南美、菅原亨、松井淳、郷康広、平井啓久、今井啓雄(京都大学霊長類研究所)

苦味受容体遺伝子の多型解析による味覚変異ニホンザルの発見

 生物が感覚器を通して得る外部環境の情報は、生存上必要不可欠であり、感覚受容にかかわる遺伝子は生物の生息環境に合わせて適応的に進化してきたと考えられている。感覚の中でも味覚感覚は、採食環境の変化や地域特異的な植生の影響を受けやすい。特に、苦味は植物に含まれる毒性物質や生理活性物質のシグナルであり、動物は苦味を含む食物を識別することで摂取を調節している。
 苦味は苦味受容体TAS2Rによって受容されている。TAS2Rをコードする苦味受容体遺伝子TAS2Rは多重遺伝子であり、霊長類では20~30種類の遺伝子が存在している。TAS2Rには種間多型や種内多型が多く存在することが知られている。例として、人工苦味物質PTC (phenylthiocarbamide) を受容するTAS2R38があげられる。この遺伝子にはヒトにおいて多数の一塩基置換 (SNP) があり、その中の3箇所のSNPがPTC受容機能に個体差を生じさせていることが報告されている。また、PTC受容機能の個体差はチンパンジーでも知られており、その原因は開始コドンに生じた塩基置換であることが近年明らかになった。ヒトやチンパンジー以外の霊長類種でもPTC感受性に個体差があることが行動実験により報告されているが、それらの分子機構は明らかになっていない。本研究では、ニホンザルおよびアカゲザルにおける苦味受容体遺伝子の多型解析を行い、それぞれの遺伝子型の機能を調べることにより、苦味受容機能の個体差の進化的、生態学的な意味を明らかにし、受容体機能との相関を解明することを目的とした。
 まず、日本国内の11の地方由来のニホンザル約400頭、インド、中国由来のアカゲザル55頭において苦味受容体遺伝子TAS2R38の遺伝子多型解析を行った。その結果、遺伝子中に多くの塩基置換が同定された。このうち、特定の地域由来のニホンザル個体のみから受容体の機能を失ったと考えられる偽遺伝子型の変異が同定された。これらの遺伝子型をホモでもつ個体とその他の遺伝子型をもつ個体を対象に、PTC溶液に浸したリンゴ片を与える給餌実験、PTC溶液とコントロール(水)を同時に与える二瓶法による給水実験を行った。これらの行動実験により、偽遺伝子型のホモ個体はその他の遺伝子型をもつ個体に比べて有意に苦味受容能力が低いことが明らかになった。PTCの類似物質であるグルコシノレートはアブラナ科の植物に含まれており、また、TAS2R38は柑橘類の皮などに含まれるリモニンを受容していることが報告されている。以上のことから、この変異とニホンザルの食性との関係や、進化の過程で変異の起こった背景などを考察する。

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京都大学霊長類研究所  > 2010年度 シンポジウム・研究会  > 第11回ニホンザル研究セミナー・要旨

このページの問い合わせ先:京都大学霊長類研究所 半谷吾郎
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