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第9次訪問団:活動内容報告書

8月25日に関空を出発し,タイで一泊,8月26日にブータン入りした.パロ空港からハ,プナカ,ティンプーと3つの都市を周り,9月1日にパロ空港から日本に向けて出発した.ブータンでは学校見学,2009年と2011年に起きた地震災害地の視察,様々なゾンの見学,ダショー・カルマ・ウラ氏やJICAの仁田 知樹氏などとの面会と非常に内容が濃く,有意義な体験をすることができた.私が特に興味がある教育について学校見学の体験を中心に報告をする.
私たちはハにあるブータンで最も古い近代的な学校であるUgyen Dorji Higher Secondary Schoolに訪れた.Higher Secondary Schoolとは日本の中学と高校を合わせたようなものであり,Ugyen Dorji Higher Secondary School はGrade 6からGrade 12まである.Grade 10までは全科目受講するがGrade 11とGrade 12ではScience,Commerce,Artの三つの分野に分かれ,各専門分野を伸ばしていく形になっている.
ブータンの学校は平日と土曜日の午前中に授業があり,毎朝朝礼がある.朝礼ではまず全校生徒・教員による国家斉唱から始まる.次に当日担当の生徒によるスピーチが行われ,先生がスピーチに対してコメントをする.その後,校長がスピーチをし,最後に国家を再度斉唱する.我々が訪れた時は,生徒は他者とのコミュニケーションの重要性についてスピーチがされた.言語は英語が用いられる.
朝礼後,我々は校長に学校を案内していただき,職員室,図書室に加え,Grade 11の生徒によるScience,Commerce,Artの三つの授業を見学することができた.また,校長の計らいにより,近くにあるLower Secondary Schoolにも訪問することができた.Lower Secondary Schoolは幼稚園からGrade 8までであり,日本の小学校から中学校の半ばまでに相当する.ハは現在まだネット環境がそれほど普及しておらず,Higher Secondary Schoolの校長は翌年までに学校にiPadを導入したいとおっしゃっていた.
ブータンの学校を訪問して受けた感想として,規律を重視しているという印象を受けた.これは毎日の朝礼に加え,我々がクラスを訪問した時に全員で挨拶をするところなどで感じた.また,自然との触れ合いも大切にしており,Nature Clubという山の中や川の傍で自然を感じながら生活をするようなことを学校のカリキュラムに入れることも検討している.日本ではこのような活動は学外では存在するが,学内のカリキュラムに組み込むところがブータンの特徴であるといえる.このように学業だけではなく,自然との触れ合いの重要性を学校で教えていくことは世界でも多くはないと思う.今後のブータンの教育制度とその動向に注目していきたい.

白眉センター 助教  西出 俊