野生キリンの保育園ほいくえん

齋藤美保

キリン

学名:Giraffa camelopardalis

キリンはアフリカ大陸たいりくに生息し、9亜種あしゅ分類ぶんるいされます。わたし調査ちょうさ対象たいしょうであるマサイキリンは、タンザニアとケニアに生息しています。キリンは地球上に生息している哺乳類ほにゅうるいの中でもっとが高く、オスは大人になると5m以上いじょうになることもあります。

キリンの子供が四頭と大人メス キリンの子供こどもが四頭と大人メス。大人メスは子供こどもの見守りをしていると言われています。

動物園のキリンはその多くが雌雄しゆうのペアで飼育しいくされていますが、野生のキリンは様々なタイプの集団しゅうだんをつくってらしています。たとえば、おすだけでるもの、複数ふくすう雌雄しゆうるものなど様々です。その中でわたしが注目しているのは、複数ふくすうの母子から集団しゅうだんで、これは「保育園ほいくえん」ともばれます。授乳じゅにゅう中の母親は、いつもよりエネルギーを多く必要ひつようとするので、食料しょくりょうや水をもとめて、時に数キロも移動いどうします。しかし、子供こどもは母親のように長距離ちょうきょり移動いどうする体力がまだありません。そこで、母親は遠くに出かける間、子供こども保育園ほいくえんあずけるのだと考えられています。

キリン個体識別(こたいしきべつ)の方法

キリン個体識別こたいしきべつの方法

わたしはアフリカ大陸たいりく東部に位置いちするタンザニアの、カタビ国立公園で野生キリンの調査ちょうさをしています。調査ちょうさはじめに行うことは個体識別こたいしきべつです。キリンの体の独特どくとく模様もようは、一頭一頭ことなるため、これを手がかりに個体こたいを見分けていきます。個体識別こたいしきべつが出来るようになると、どの個体こたいとどの個体こたいがよく一緒いっしょにいるかといった、個体こたい同士どうし親密しんみつさも見えてきます。またキリンの模様もようは一生変化へんかしないため、キリンの一生を通じた、長期的ちょうきてき追跡ついせきにも役立ちます。

これまでのわたしの研究から、以前いぜん一緒いっしょ観察かんさつされることがほとんどなかっためす三頭が、子供こどもが生まれてからは、頻繁ひんぱん一緒いっしょ観察かんさつされるようになりました。つまり、子育てをするようになると、特定とくていの母親同士どうしがよく集まって保育園ほいくえんをつくるようになるのです。保育園ほいくえんをつくることは、母親達ははおやたちにとって、子供こどもを見守る役割やくわり分担ぶんたんできる、見守り役の母親以外いがい採食さいしょくのため遠出ができる、といった利点りてんがあると考えられます。また、母親が一人で遠出をしないときでも、母親同士どうし集団しゅうだんをつくることで、子供こどもを見守る目がえ、捕食者ほしょくしゃから子供こどもを守ることにもつながるのでは、と考えています。

 

実は、キリンの子供こどもは生後一年で、その半数がライオンなどの大型おおがた肉食獣にくしょくじゅう捕食ほしょくされると言われています。子供こどもをいかにして捕食者ほしょくしゃから守るかは、母親にとってとても重要じゅうよう課題かだいなのです。今後はキリンの母親がどのように捕食者ほしょくしゃから子供こどもを守っているのか、母親が子供こどものこしていく場所はどのような環境かんきょうなのか、といったことに着目して研究を進めていきたいと考えています。

野生のキリンが国立公園内にあるスタッフの家の目の前まで来る
野生のキリンが国立公園内にあるスタッフの家の目の前まで来ることも。もちろん柵などありません
国立公園のレンジャーと共にキリンの調査
国立公園のレンジャーと共に調査をしている様子
研究者に聞いてみました!あなたの研究の相棒はなんですか?
ペン
ペン

物を書くだけではなく、スケールとしても使える。これはキリンの足跡の横にペンを置いているところ。

蚊帳
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快眠&マラリア予防のための必須アイテム!

双眼鏡
双眼鏡

レンジャー
おいしい食事と調査を手伝ってくれるレンジャーとの楽しいひと時