ヒョウガソコミジンコの氷中生活

○竹内望・幸島司郎(東工大,生命理工学部)

ネパールヒマラヤのヤラ氷河には,藻類などの植物,昆虫や甲殻類,線虫ワムシなどの動物,バクテリアなど多様な生物が生息していることが明らかになっている.その多くは氷河上だけで生活をしているものであり,これらの生物は低温な氷河という特殊な環境に適応した生活をしていると考えられる.今回は,ヒョウガソコミジンコの氷河上での日周行動,生息場所特性についての調査を行った.クリオコナイトホール中のミジンコの日周行動の調査を行った結果,昼間は氷の隙間や汚れの中に隠れており,夜間に氷や汚れの表面に現れることが明らかになった.これは,日中に多い融解水流によってミジンコが氷河外への流出から逃れるためと考えられる.氷河上のミジンコの生息密度を調べたところ,氷河の表面の氷の形態によって生息密度が異なることが明らかになった.これは,融解水の流れや餌となる汚れの分布に関係しているものと考えられる.


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