共同利用・共同研究 本研究は、京都大学野生動物研究センター 共同利用研究制度を利用しておこなわれました。

Prey Species and Foraging Behaviour of Indo-Pacific Bottlenose Dolphins (Tursiops aduncus) Around Mikura Island in Japan

Rikiya Takahashi, Mai Sakai, Kazunobu Kogi, Tadamichi Morisaka, Takao Segawa, Hiroshi Ohizumi

DOI: 10.1578/AM.46.6.2020.531
概要
鯨類は水中で生活しているため行動の詳細を直接観察することは困難ですが、御蔵島は海水の 透明度が高く、水中観察に適しています。本研究は、ミナミハンドウイルカの採餌行動を水中観察 して、餌生物やその行動を調べた国内初の研究です。また、イルカウォッチング事業者への聞き取 り調査や、混獲個体※3の胃内容物解析も併せて行うことで、詳細な食性の解析を行いました。 その結果、御蔵島に生息するミナミハンドウイルカについて、15種類以上の魚類やイカやタコなどの 頭足類を餌生物として確認しました。また、日中の採餌行動は稀であること、早朝に発見された 混獲個体から豊富な胃内容物が確認されたこと、その中から夜間に深海から表層へ上がってくる ような中深層性のイカなどが確認されたことから、夜間から早朝にかけて積極的な採餌行動をして いることが示唆されました。さらに、日中に観察された採餌は、ほとんどメスが行っていることがわかり ました。メスによる日中の採餌が多い原因として、母親から子どもが採餌行動を学習することや、 妊娠・授乳期の母親の餌要求量が増えていることが推測されました。
Article Information
Takahashi R, Sakai M, Kogi K, Morisaka T, Segawa T, Ohizumi H (2020)Prey Species and Foraging Behaviour of Indo-Pacific Bottlenose Dolphins (Tursiops aduncus) Around Mikura Island in Japan Aquatic Mammals , 46(6): 531-541 10.1578/AM.46.6.2020.531