ず~じゃん

動物園大学4 in 横浜

本イベントは盛況のうちに終了いたしました。多数の方々のご来場誠にありがとうございました。



実施報告はこちらのページをご覧ください。
  • 日付:2014年3月16日 (日) 午前9:45から(9:15開場・受付開始)
  • 会場:よこはま動物園ズーラシア
  • 先着300名様まで入園無料 当日正門の専用受付にて受付(※事前申し込みなし)
  • 参加無料・予約不要
 

巻頭言

京都大学野生動物研究センターは、世界の様々な野生動物、特にその多くが絶滅に瀕している大型動物の保全研究を行っている、日本で唯一の研究センターです。現在、30名以上の大学院生や若手研究者が在籍し、アジアやアフリカ、南米など世界各地で、ゾウやバク、イルカ、アザラシなど様々な野生動物を研究しています。


本センターの特色の一つは、動物園や水族館との連携を重視していることです。野生動物を絶滅から守るには、フィールド(自然生息地)での研究・保全だけでなく、動物園・水族館で飼育されている貴重な野生動物を研究や保全、教育に利用することが重要だと考えているからです。動物園や水族館は、その優れた飼育技術や展示技術を活かして、希少動物種の繁殖(生息地外保全)や環境教育に貢献できるばかりでなく、自然生息地での研究や保全にも貢献できる可能性を持っています。


我々は、今、野生動物保全のために最も必要なことは、アマゾンやボルネオ、アフリカなどの自然生息地に、野生動物を飼育、半飼育、野生下で観察・研究・保全できる、理想の動物園・水族館ともいえる施設「フィールドミュージアム」を整備することだと考え、まずアマゾンで実現しようとしています。将来的には、日本の動物園・水族館も、地域の自然や生物を「知り」、「楽しみ」、「守る」ための重要な拠点となると信じています。このような考えから、本センターは、多くの動物園・水族館と正式に連携協定を結び、様々な動物の行動、形態、遺伝子に関する研究・教育、飼育環境や飼育法の改善を、動物園・水族館職員の方々と協力しながら進めてきました。


シンポジウム「動物園大学」は、こうした日ごろの連携の成果を広く一般の方々に知っていただくために、本センターと連携動物園との共同企画として毎年開催しているもので、今回が4回目となります。今回も、意義深い講演や動物園・水族館職員、研究者、NPO によるユニークな研究や活動の紹介、数々の楽しい企画が予定されています。このシンポジウムによって、動物園・水族館の職員と研究者、動物に関心を持つ多くの人々との交流と連携がさらに深まることを願っています。

平成26 年3 月16 日
京都大学野生動物研究センター長
幸島 司郎

 

開催によせて

私ども公益財団法人横浜市緑の協会は、指定管理者として市内3動物園(よこはま動物園、野毛山動物園、金沢動物園)や横浜山手西洋館等の管理運営を行うとともに、よこはま緑の街づくり基金をもとに、都市緑化事業の推進を図っている団体です。


ズーラシアは、昨年4 月に「アフリカのサバンナ」エリアが一部オープン、来年春にはグランドオープンが予定されております。また、本年4 月24 日には、開園15 周年を迎えます。さらに当協会は、10 月に創立30 周年を迎えます。昨年10 月には、創立30 周年の記念事業の皮切りとして、当協会と横浜市、JICA によるウガンダ野生生物教育センターへの技術協力事業である「ウガンダ野生生物保全事業」の取り組みを紹介する「国際シンポジウム」を実施しました。記念すべき年となる今年は、「歴史的建造物の保存と活用」についてのシンポジウムや「横浜市の公園と動物園」についての国際シンポジウムを予定しておりますが、今年最初に、「よこはまのどうぶつえん」での動物たちの命の誕生についてご紹介できるこのようなシンポジウムを開催できることを大変嬉しく思っております。


平成23 年2 月に当協会と京都大学は「野生動物保全に関わる研究及び教育普及の連携に関する協定書」を締結し、ズーラシアのチンパンジーやインドゾウでの研究活動が始まり、チンパンジーの親子や群れの行動調査やインドゾウの夜間の行動調査を行い、成果をあげることができました。このたび、京都大学および連携する動物園が協力して行うプロジェクト「動物園大学」の4 回目となるシンポジウム「ず~じゃん。動物園大学④in 横浜」が横浜市で開催されることとなりました。昨年からは新たに高知県立のいち動物公園も連携園として加わり、こうした取り組みが全国に広がっていくことを心強く思っております。


今回のシンポジウムも各園からの動物や動物園での新たな一面が垣間見える話題提供、ポスター発表を行います。午後からは「動物園・水族館の将来」をテーマに講演・ディスカッションを行います。会場の皆様からもどんどん質問していただき、活発な意見交換が行われることを期待します。

平成26 年3 月16 日
公益財団法人横浜市緑の協会 理事長 𠮷田哲夫

動物園にとって科学とは何か?

京都大学野生動物研究センター(WRC)と全国各地の連携動物園が共催する『動物園大学』が、 2014 年3 月に横浜市の動物園を会場にして開催されることを嬉しく思います。


基調講演においても触れるつもりですが、ロンドン動物園から始まった近代動物園の歴史は、そ の時代における社会や経済や政治の影響を受けながらも、確実に発展してきました。たとえば、初 期の動物園では主に珍奇動物の個体展示を対象として人気を得ましたが、その後、飼育下での動物 繁殖技術を向上させ、展示では動物の生息環境を見せる工夫が凝らされ、環境教育的役割も担うよ うになりました。そして、現代の動物園では希少種保全や動物福祉の重視が世界的潮流になってい ます。


しかし、いつの時代にあってもその背景には科学(サイエンス)がありました。たとえば、海外 植民地から入手した珍奇動物の展示ではあったとしても、動物標本の学術的な利用目的があったの です。つまり動物園は、サイエンスを基盤にして進化(evolution)してきた存在だと言えます。

サイエンスを基盤としている以上、大学や各種研究機関そして研究者との連携は動物園にとって 必須要件です。まさしく動物園はアカデミーの中に位置する施設なのです。ただし、科学研究だけ が動物園の目的でないことも確かです。動物園で得られた科学的成果をいかに上手に来園者へ伝え ること(サイエンスコミュニケーション)ができるのか、そしていかに来園者にそれを楽しく学ん でもらうことができるのか、を考えることも動物園にとっては重要だと思っています。そのような サイエンスとレクリエーションのバランス感覚 を大切しながら両者を癒合できれば、動物園がも っと魅力的になるのは間違いありません。


横浜市の動物園で開催される動物園大学 in 横浜「ず~じゃん。」が、日本の動物園の将来的 発展に対して、少しでも貢献できれば幸いです。


平成26 年3 月16 日
村田浩一
よこはま動物園ズーラシア園長 /日本大学生物資源科学部教授
 
 

プログラム

09:15
開場・受付
@ころこロッジ
09:45-12:00
7つの動物園によるレクチャー
@ころこロッジ
 ゾウさん一家の引っ越し大作戦 ~限りなく遠い22メートル~
[辻 ※点一個のしんにょう] 信義(名古屋市東山動物園)

 脱サル山!!!  ~ニホンザルのふるさと相良村の奥山と里山へ~
松本 充史(熊本市動植物園)

 これがホントのハイエナ根性  ~ブチハイナ 母子が母子であるために~
木村夏子(高知県立のいち動物公園)

 毎日休まずコロコロ! ~ペンギンの抱卵をのぞいてみました~
佐々木 智子(京都市動物園)

 最近、夫婦で巣穴にいるけど、どうしたの?  ~密着100日!ペンギンの子育て~
有馬 一(横浜市立よこはま動物園)

 愛しのダチョウ成長記録
櫻堂 由希子(横浜市立野毛山動物園)

 インドサイの赤ちゃんが生まれたよ
先崎 優(横浜市立金沢動物園)

13:00~14:30
ポスター発表
@みんなのはらっぱ大テント
 01群れ飼育のチンパンジーにおける子どもの発達研究~母子間距離の経時的変化について~
有賀菜津美1,平賀真紀2,村田浩一1,2
(1日本大学野生動物学,2横浜市立よこはま動物園)
群れ飼育のチンパンジーを対象に子どもの発達に伴う母子間距離の経時的変化を調査した。その結果、母子が接触を続ける0~8ヶ月齢、母子間距離を調節する8~15ヶ月齢、母子間距離を急速に広げる時期15ヶ月齢以上の3段階が確認された。
 02オランウータンはiPadをどのように使う?
花塚優貴1,木村幸一2,今西鉄也2,田中正之3,緑川晶4
(1中央大学大学院/日本学術振興会,2東山動物園,3京都大学野生動物研究センター,4中央大学)
オランウータンがiPadを自由に利用できる環境を整え、様々なアプリに対する反応を調べた。本発表では、オランウータンがテレビ電話(スカイプ)を通して飼育員とやりとりしている様子やお絵かきアプリに対する反応などについて報告する。
 03飼育下フランソワルトンにおける日中行動の時間割合とその月変動
堀千夏1,金澤朋子1,川口芳矢2,横田真啓2,村田浩一1,2
(1日本大学野生動物学,2横浜市立よこはま動物園)
飼育下フランソワルトンの日中行動を一年間観察し、行動の時間割合及び季節的変動を調査した。行動の約58%を休止が占め、10℃(生息地の最低気温)未満ではその割合が有意に増加した。冬季は、更なる加温等の対策により本来の行動パターン発現が望まれる。
 04人工哺育チンパンジーの実母との早期群れ復帰
大栗靖代,山内直朗
(日立市かみね動物園)
2011、2012年かみね動物園で誕生したチンパンジーは育児放棄、未熟児という理由から人工哺育となった。しかしそれぞれ生後約13か月、10か月で実母の元へ帰すことができ、早期に全てのメンバーと合流、群れ復帰に成功した。その様子について紹介する。
 05まだまだ現役!国内最高齢カバ「バシャン」の飼育日記
川添久美子,村山正巳
(日立市かみね動物園)
昭和38年生まれの51歳。飼育下のカバでは国内最高齢で、人間で言うと90歳をこえるカバのおばあちゃん「バシャン」。日本中のカバの命を繋いできた彼女の毎日と、国内における動物園カバたちの現状について紹介します。
 06スマトラオランウータン雄のフランジの発達について
木村幸一1,髙倉健一郎1,木下こづえ2,黒鳥英俊3,小倉匡俊4,尾崎康彦5,久世濃子6
(1東山動物園,2京都大学野生動物研究センター・日本学術振興会,3京都大学野生動物研究センター,4北里大学獣医学部,5名古屋市立大学医学研究科,6国立科学博物館・日本学術振興会)
オランウータンの雄は、強い雄が近隣にいるとフランジが発達しない。2012年に父親が死亡したことにより子供雄のフランジの発達が予測されたことから、フランジ幅と雄性ホルモン濃度を経時的に測定したところ、フランジの発達とともに雄性ホルモン濃度が上昇した。
 07『隠れたゾウガメを探せ!』プロジェクト
藤谷武史1,谷佳明1,玉井勘次2,安川雄一郎
(1東山動物園,2平川動物園,3高田爬虫類研究所)
現在、日本の水族館や動物園で飼育されているアルダブラゾウガメは約140頭である。その中に近い仲間であるセーシェルヒラセゾウガメとセーシェルセマルゾウガメが隠れている可能性が疑われたので、形態をもとに検証を試みた。
 08コアラが好きなユーカリを探せ?(Ⅱ)
中山哲男1,戸嶋康伸1,山部桂子1,茂野寛生1,小倉匡俊2
(1東山動物園,2北里大学獣医学部)
コアラは非常に好みがうるさく与えたユーカリの1割から2割ほどしか食べません。そこで採食データの分析を行い、ユーカリの管理方法や給餌方法を工夫して採食率向上をめざしています。今年度はユーカリの嗜好性データなどから給餌方法を再検討しました。
 09フリーズドライ法を用いた希少動物の精子保存について
金子武人1,伊藤英之2,3,坂本英房2,3,村山美穂3
(1京都大学大学院医学研究科附属動物実験施設,2京都市動物園,3京都大学野生動物研究センター)
フリーズドライ技術を用いて希少動物の精子を冷蔵庫(4℃)で簡易・安全・低コストに保存する取り組みを行っている。京都市動物園等で飼育されている動物(チンパンジー、キリン等)から採取した精子は、フリーズドライ後も受精能力があることを確認した。
 10飼育下のハクジラ類6種の体温
船坂徳子,阪本信二,桐畑哲雄
(太地町立くじらの博物館)
鯨類の体温測定は飼育個体の健康状態を把握する一手段として用いられている。鳥羽山ら(1985)は,担架吊り又は落水時に飼育下7種の体温を測定しているが,平時の温度は明らかでない。本研究では,受診動作により得られた6鯨種の体温を調べたので報告する。
 11被災したニホンザル放飼場での多様な空間利用促進のエンリッチメントの試み
田中ちひろ1,早坂正美1,阿部弘1,高橋信也1,佐藤喜伸1,小野寺順也1,佐藤修2,持田浩治3,武田庄平4
(1仙台市八木山動物公園,2太白区道路課,3今泉工場,4東京農工大学)
東日本大震災で被災したニホンザル放飼場の改修に伴い、地上から樹上まで多彩な空間利用を促進する試みとして、物理的環境および採食エンリッチメントを導入し、行動観察に基づき頻度を定量的に検討することにより環境要因を探ることを目的とした。
 12音声による飼育チンパンジーの個体識別の試み
森裕介,森村成樹
(京都大学熊本サンクチュアリ)
チンパンジーを健康に飼育するには観察が大切であるが、観察し続けることは難しい。飼育者が見てないときに闘争が起きても、声で個体識別ができれば、飼育環境の改善に役立つ。そこで、闘争時にチンパンジーが発する金切り声で個体識別ができるか調査した。
 13レッサーパンダの性格:遺伝学的解析と行動学的解析
渡辺万琳1,山本千尋1,竹内浩昭1,金澤裕司2,村山美穂3
(1静岡大学理学部,2静岡市立日本平動物園,3京都大学野生動物研究センター)
レッサーパンダの性格を正しく評価するための研究です。遺伝学的解析では、遺伝子多型の探索と家系の調査を行い、性格との関連性を調べました。行動学的解析では、アンケート調査と行動観察を行い、ペアリング形成に性格が影響するか調べました。
 14飼育チンパンジーの睡眠についての行動学的研究
加藤洋子
(千葉市動物公園)
2012年3月より、千葉市動物公園で飼育しているチンパンジー3個体を週1回の頻度で、夜間同居させた。その間の行動を撮影し、行動観察を行った。夜間睡眠行動を「睡眠」「覚醒」に分類し、1分間隔の瞬間サンプリングで記録した。その結果についてまとめた。
 15チンパンジー用自動販売機設置から13年
牧村さよ子,島原直樹,広瀬格,中島麻衣
(多摩動物公園)
多摩動物公園では、1958年の開園以来のチンパンジー飼育において、ナッツ割り用石器や人工アリ塚など様々な遊具の開発・導入を行ってきた。2000年に完成した新展示場にはチンパンジー用の自動販売機を設置した。購入成功までの道のりと現在の様子を報告する。
 16ブチハイエナの帝王切開術とその後の経過について
齋藤隼1,福田桂子1,金﨑依津子1,木村夏子1,佐野恵子2,佐野明彦2,多々良成紀1
(1高知県立のいち動物公園,2佐野獣医科病院)
ブチハイエナ雌妊娠個体において、出産予定日を過ぎて出産徴候が始まったが難産と判断され、翌日麻酔下で帝王切開術を行った。術後、術創が開いてしまい再縫合を3度繰り返したが、抗精神病薬の投与とエリザベスカラーの装着により良好な結果が得られた。
 17飼育下オカピにおけるヘイネットを用いた給餌試験について?ごはんの与え方によって行動が変わる!??
田中成央子1,傳見勇1,金澤朋子1,正木美舟2,石和田研二3,村田浩一1,3
(1日本大学野生動物学,2横浜市立金沢動物園,3横浜市立よこはま動物園)
オカピへのヘイネットを用いた給餌効果を評価するため、通常給餌時の行動と比較検討した。本給餌方法では、採食行動量の減少と異常行動である首振りの行動量の増加が認められたため、ヘイネットを使った給餌は再検討の必要があると考えた。
 18何が飼育チンパンジーに大きなストレスとなるのか
寺本研,山梨裕美,森裕介,野上悦子,森村成樹,平田聡
(京都大学野生動物研究センター)
慢性的ストレスは病気などにつながり問題となるが、何が飼育チンパンジーに大きなストレスとなるのか詳しくは分かっていない。熊本サンクチュアリで、慢性的ストレスの指標となる体毛中コルチゾルの長期モニタリングを開始したので紹介する。
 19飼育下オカピにおける新施設移動後の休息行動量変化について~オカピが新居に慣れるまで~
金澤朋子1,石和田研二2*,3,正木美舟2,大浦敦史3,村田浩一1,3
(1日本大学野生動物学,2横浜市立金沢動物園,2*元横浜市立金沢動物園,3横浜市立よこはま動物園)
飼育下オカピが動物園間の移動により受ける影響を知るため、移動個体と、約10年間移動経験がない個体の休息行動量を比較検討した。移動個体の休息行動量は移動直後0分であったが、100日後には非移動個体の休息行動量と同値となり、新施設に馴化したと考えられた。
 20シセンレッサーパンダ三つ子の成長記録
菊岡厚史,入倉多恵子,水品廣子
(市川市動植物園)
当園では昨年、初めてレッサーパンダの四つ子(うち1頭死産)が誕生しました。母親の死亡により生後77日令より人工哺育に切り替え、現在まで3頭とも順調に飼育しています。今回は、「三つ子」の人工哺育中の様子などをお伝えします。
 21「流しカワウソ」はじめました!
水品繁和,森田茂,田口健太郎
(市川市動植物園)
当園では「動物が楽しめてそれを見たお客様も楽しめるものを」というコンセプトのもと、コツメカワウソ舎においてH24年7月より塩ビパイプを材料に「流しカワウソ」と銘打ったオリジナルの遊具を開発、設置しました。その経緯と詳細についてお伝えします。
 22子の発達とメスの妊娠が飼育アビシニアコロブス集団の社会交渉に及ぼす影響
河野穂夏1,山田一憲2,中道正之2
(1大阪大学人間科学部,2大阪大学大学院人間科学研究科)
神戸市立王子動物園のアビシニアコロブス集団を11カ月間観察した。他個体から子ザルへの養育的な関わりが子ザルの発達に伴って顕著に減少すること、出産2カ月前から妊娠メスは集団の他個体と離れて過ごす時間が増加することが明らかになった。
 23 Laterality in gibbons
Luca Morino
(Kyoto University)
Lateralized behaviors (such as hand preference) are thought to be essential precursors of human complex vocal communication Since gibbons are phylogenetically close to humans, and also display complex, coordinated duets, studying laterality in this taxon can shed light on the mechanisms selecting for the emispheric specialization that ultimately led to the evolution of human language. I present two studies investigating laterality in hylobatids. The first one was conducted on wild siamangs (Symphalangus syndactylus) in Indonesia. It revealed an individual- as well as a population-level preference for the left hand. The second, currently ongoing study focuses on captive gibbons in Japanese facilities, and has two main aims: the first is to establish hand preference in a large and varied sample of hylobatids using a standardized method ? the “Tube test”. The second goal is to assess voluntary-controlled oro-facial and gestural communication during production of species-typical vocalizations.
 24専門学校における骨格標本を用いた授業の意義~名古屋コミュニケーションアート専門学校(NCA)での実践報告~
丸山啓志1,楠本真紀2,三好咲衣2,吉田弥生3
(1京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻地質学鉱物学教室,2名古屋コミュニケーションアート専門学校,3京都大学野生動物研究センター)
通常、様々な制約のため、専門学校で骨格標本を用いた授業を実施する機会は少ない。ここでは、NCAのドルフィントレーナー養成課程にて実施した「骨の授業」についての実践報告を行うとともに、専門学校における骨格標本を用いた授業の意義について考える。
 25超音波画像で見る、バンドウイルカ胎子の体の変化
寺沢文男,武藤優貴,櫻木徹,堀内郁恵
(新江ノ島水族館)
2011~2013年までに4頭のバンドウイルカの出産がありました。そのすべてで妊娠中に母親の超音波検査を行っています。動物園大学③に引き続き、今年も胎子の頭、心臓、肺、肝臓、尾びれなど、膨大な超音波画像の中から選りすぐりをお見せします。
 26 フンボルトペンギン(Spheniscus humboldti)における血漿近 赤外スペクトル測定による雌雄判別の可能性について
木下こづえ1,伊藤英之2,佐々木智子2,伊藤二三夫2,井上-村山美穂3,伊谷原一3
(1京都大学野生動物研究センター・日本学術振興会,2京都市動物園,3京都大学野生動物研究センター)
本研究では、試薬を必要とせず、迅速に分析が可能な近赤外分光法を用いて、フンボルトペンギンの雌雄判別を行った。12羽(雄4羽、雌8羽)の血漿近赤外スペクトルを透過法により測定し解析を行ったところ、若齢個体を除く全羽で正確に雌雄を判別できた。
 27ヒト補助生殖技術の飼育下オランウータンへの応用~精子保存法を中心に~
尾崎康彦1,久世濃子2,木村幸一3,宮川悦子4,小林智男5,黒鳥英俊6,田島知之7,木下こづえ8
(1名古屋市立大学医学研究科,2国立科学博物館・日本学術振興会,3名古屋市立東山動植物園,4横浜市立金沢動物園,5横浜市立よこはま動物園,6京都大学野生動物研究センター・上野動物園,7京都大学理学研究科,8京都大学野生動物研究センター・日本学術振興会)
排卵予知、人工授精等のヒト補助生殖技術を応用して、日本国内のオランウータンの繁殖成績の向上に寄与することを目指し、オランウータンの精子保存方法の開発を2013年より試みている。本発表ではヒト用精子凍結保存液を用いた実験の途中経過を報告する。
 28チンパンジーの群れへの新規個体導入が社会行動に与える影響
八代梓1,高取霞4,松本充史2,竹田正志2,穴見浩志2,福原真治2,池田智則2,田中正之3,伊藤秀一4
(1東海大院農,2熊本市動植物園,3京都市動物園,4東海大農)
熊本市動植物園で飼育されているチンパンジー群は、2013年に新規雌個体(推定35才)が導入され、5頭群(雄1頭、雌4頭)となった。本研究では、社会行動を中心に、前年度の観察結果との比較を行い、新規個体導入の影響を考察した。
 29野生を見に行こう!~インドネシア野生動物研修~
綿貫宏史朗
(京都大学霊長類研究所)
生物多様性を実感することや知見を日本の動物園界に役立てることを目的として、インドネシア国内の4島を巡り3週間の野生動物研修をおこなった。オランウータンやフウチョウ類など多数の野生動物を観察することができたため、その報告をおこなう。
 30どんなチンパンジーがストレスを感じている?:園館をまたいだ情報蓄積に向けて
山梨裕美1,寺本研2,森村成樹2,平田聡2,野上悦子2,森裕介2,田中正之3,松永雅之3,藤森唯4,ゴドジャリ静4,鈴木樹理4,林美里4,木下こづえ5,村山美穂6,伊谷原一6
(1京都大学野生動物研究センター・日本学術振興会,2京都大学野生動物研究センター,3京都市動物園,4京都大学霊長類研究所,5京都大学野生動物研究センター・日本学術振興会,6京都大学野生動物研究センター)
チンパンジーの長期的なストレス状態に影響を及ぼす環境・個体内要因を検討している。現在、園館をまたいだ情報蓄積に向けて、飼育担当者による行動チェックと体毛中コルチゾル(長期的なストレス指標)の測定をおこなっている。その取組を紹介したい。
 31SHAPE-Japanの活動紹介~エンリッチメントのアイデアをみんなで形に!~
小倉匡俊1,小山奈穂2,田口勇輝3・橋本直子4,三家詩織5,山崎彩夏6,山梨裕美7
(1北里大学,2麻布大学,3広島市安佐動物公園,4京都大学霊長類研究所,5京都大学野生動物研究センター,6多摩動物公園,7京都大学野生動物研究センター・日本学術振興会)
環境エンリッチメントに関する国内外の最新情報を交換・活用・発信する場を作るために、2013年4月よりSHAPE-Japan(http://www.enrichment-jp.org/)という団体を起ち上げた。これまでの活動報告と今後の展開について発表する。
 32チンパンジーの子どもの誕生は、他個体の常同行動を減少させる
長野秀美1,松永雅之2,島田かなえ2,田中正之3
(1京都大学農学部,2京都市動物園,3京都市動物園と京都大学野生動物研究センター)
京都市動物園において、2013年2月に誕生したオス1個体、大人4個体(オス2個体、メス2個体)のチンパンジーを2012年6月から2014年2月まで13時?14時半の約1時間、計約60時間観察した。新生児の誕生以降、大人チンパンジーの常同行動が減少した。
 33チンパンジーのタワー利用状況比較調査-札幌市円山動物園・名古屋市東山動物園
堀田里佳1,柴田千賀子2,近藤裕治3,山本光陽3,今西鉄也3,小倉匡俊4,田中正之5,6,羽深久夫1
(1札幌市立大学大学院デザイン研究科,2札幌市円山動物園,3名古屋市東山動物園,4北里大学獣医学部,5京都市動物園,6京都大学野生動物研究センター)
札幌市円山動物園の高さ15mのタワーと名古屋市東山動物園の高さ11mのタワーを対象に、チンパンジーのタワー利用状況を調査し比較した。タワーを利用する際によく使う場所やパーツ、両タワーに共通する特徴や違いなどについて写真を交えて紹介する。
 34チンパンジーの島パドックにおけるエンリッチメントの取り組みについて
福原真治,竹田正志,穴見浩志,池田智則,山下知亜紀,瀧本勉
(熊本市動植物園)
昨年、当園チンパンジー舎屋外水モート運動場が水没し殆どの草、木が枯れてしまった。何も無くなった運動場でチンパンジーが快適に過ごせるよう、新たな植栽を行うまでの間、落ち葉や枝を用いて実施している環境エンリッチメントの取り組みについて報告する。
 35「ホタルの里づくり」運動への取り組み
田盛路泰,菅村容子,永廣千尋,永谷清一,村上英明,松本充史
(熊本市動植物園)
熊本市動植物園は、市民の憩いの場であり自然豊かな湖、江津湖の畔に位置している。以前はゲンジボタルの乱舞も見られたが、環境の変化によりその数も減少してきた。そこで、園内の動物資料館において「ホタルの里づくり」に取り組み、復活を目指している。
 36手作り感を大切に。アニマルボックスリニューアル!
近江谷知子,落合絵美,百武真梨子,藤岡隆二
(横浜市立野毛山動物園)
野毛山動物園では園内にハンズオン教材(アニマルボックス)を常設していましたが、老朽化およびメンテナンスの困難さから、2013年にリニューアルしました。職員がアイデアを出し合い野毛山動物園らしいアットホームで手作り感のあるその展示内容についてご紹介します。
 37みんなのクラスが動物園
南保麻里奈
(横浜市立野毛山動物園)
小学校低学年を対象とした動物出張プログラム。動物たちとふれあうだけでなく、観察をうながし発見の面白さを体験してもらう。また、児童一人一人が自主的に観察できるように、各々に書き込み式のワークシートを配布し、授業を行なっている。
 38土の中のいきものを探してみよう!
鈴木義明
(横浜市立金沢動物園)
土の中や落ち葉の下には、子どもたちが大好きなダンゴムシをはじめ、様々ないきものが暮らしている。そこでは小さないきものたちが落ち葉などを分解し、自然の循環の中で重要な役割を担いながら、一つの生態系を作っている。土の中の小さな世界をのぞいてみよう!
 39アラビアオリックスの1日の過ごし方~動物園の暮らしは退屈なの?~
森田菜摘1,井上岳2,植竹勝治2
(1横浜市立金沢動物園,2麻布大学動物応用科学科動物行動管理学研究室)
希少種であるアラビアオリックスは、国内では2か所でしか飼育されていない。本種の飼育下での行動を詳しく知るため、日中と夜間に分けて3頭の行動観察を行った。また採食エンリッチメントとして与えている樹枝がどれだけ活用されているかについても調査した。
 40ウガンダの動物園への技術協力-生息地に向けて横浜の動物園ができること-
田中宗平
(よこはま動物園)
横浜市立 3 動物園(野毛山、金沢、ズーラシア)では2008 年より、 JICA の支援の下、ウガンダ共和国にあるウガンダ野生生物教育セン ター(UWEC:Uganda Wild life Education centre) に対し野生動物飼 育技術及び環境教育活動の支援事業を行っています。今回の発表 ではその内容と成果を報告します。
 41アニマルペアレント制度について
藤澤加悦
(よこはま動物園)
横浜市立動物園(野毛山動物園・よこはま動物園・金沢動物園)では、『アニマルペアレント』という制度により、動物の飼育環境の改善や、イベント等の様々な取り組みが可能となっています。どのような制度か、そして今までどのような活動をしてきたのかをご紹介します。
 42インドゾウのマスト時の行動変化について
藤澤加悦1,古田洋1,佐藤英雄1,栗原幹尚1,太田真琴1,山本香織里1,田中正之2
(1よこはま動物園,2京都市動物園生き物・学び・研究センター)
成熟したオスゾウはマストというオス特有の生理的周期変化が現れます。そこでよこはま動物園で飼育しているオス個体の夜間行動観察を行うことにより、通常時との行動変化を比較しました。またマスト期の健康管理対策として、夜間の行動可能範囲を拡大したときの行動変化についても報告します。
 43チンパンジーのご近所付き合い
平賀真紀1,野口忠孝1,小倉典子1,坂上舞1,中嶌はるか1,森村成樹2
(1横浜市立よこはま動物園,2京都大学野生動物研究センター)
よこはま動物園ズーラシアでは「生息環境展示」を推進している。より自然に近いチンパンジーの社会を展示するため、多数の雄や雌がひとつの集団で生活している。2012年に赤ん坊2人が生まれたことをきっかけに、大人チンパンジーの交渉の変化について分析した。
 44つながる・つなげる・考える~教育プログラムの充実に向けて~
和田晴太郎1,2,吉田信明3,田中正之1,2
(1京都市動物園生き物・学び・研究センター,2京都大学野生動物研究センター,3京都高度技術研究所)
京都市動物園では,平成25年度に新たに「生き物・学び・研究センター」を新設し,動物園の担う機能充実を目指している。その一環として,教育委員会とのつながりや研究助成金の獲得を通した教育プログラム作成を行っているので,その取組を紹介する。
 45レッサーパンダの新規導入による夜間行動の変化
岡部光太,田中正之,佐藤元治,濱崎勤,髙木直子,塩田幸弘
(京都市動物園)
レッサーパンダの性格は,単独生活でありながら非常に多種多様である。繁殖はよく見られるが,個体同士の付き合い方は様々である。今回は繁殖を目指した個体同士の出会いに着目し,個体の新規導入による夜間行動の変化や柵越しでの交流の様子を紹介する。
13:00 /
14:00
(各10分間)
インドゾウ・チンパンジーガイド
14:30~16:25
シンポジウム「動物園と水族館の将来」
@ころこロッジ
  基調講演1:村田 浩一(横浜市立よこはま動物園長)
 動物園のいま、むかし
基調講演2:植田 啓一(沖縄美ら海水族館獣医師) 
 沖縄美ら海水族館の獣医師の役割

パネルディスカッション
(基調講演者2名+パネリスト2名+コーディネーター1名の計5名でディスカッション)
 コーディネーター: 伊谷 原一(京都大学野生動物研究センター)
 パネリスト:
  鈴木 浩(横浜市立野毛山動物園長)
  原 久美子(横浜市立金沢動物園長)




ジオアートワークス WILDLIFE ART展
@アマゾンセンター
http://www.k5.dion.ne.jp/~hookjaw/

 

ポスター発表

  • 日時:2014年3月16日(日) 13:00~14:30
ポスター発表は受付終了いたしました。

野生動物についての研究、飼育、動物福祉、保全、あるいは環境教育、動物園に 関する発表であればどのようなテーマでも結構です。発表参加費は無料です。

申込方法

下の内容をMS-WORDのdoc形式で保存して添付していただくか、メール本文に直接 書いてご送付ください。
提出先Eメールアドレス:mail

件名を「ず~じゃん。ポスター発表申込」としてください。

  • 申込者の氏名
  • 申込者の所属先
  • 申込者の連絡先(電子メール)
  • 発表タイトル
  • 発表者全員の氏名と所属先
  • 発表内容の概要(120字以内)

※記入はすべて日本語あるいは英語表記(半角英数字)を使用してください。

申込締切

2014年2月24日 (月)

注意事項

当日配布するプログラムに、各ポスター発表の番号が記載されています。
その番号の掲示パネルにポスターを掲示してください。
ポスターの掲示スペースは、A1サイズ(幅600mm×高さ840mm)です。
形式は自由です。
画鋲、テープ類は会場で用意します。

 

会場アクセス

「よこはま動物園ズーラシア」へのアクセス情報
 ■首都高速「葛西JCT」から約50分(52km)・東名高速「横浜町田I.C.」から約15分(6km)保土ヶ谷バイパス「下川井I.C.」から5分(2km)・第三京浜「港北I.C.」から約20分(7km)
 ■相鉄線「鶴ヶ峰」駅・相鉄線「三ツ境」駅・JR横浜線・横浜市営地下鉄「中山」駅下車、各駅からズーラシア行きのバスで15分。終点(よこはま動物園)で下車。

 

動物園大学とは

動物園大学は、京都大学および連携する動物園が協力して、情報交換・共同研究・教育普及をおこなうプロジェクトです。
詳しくは動物園大学のページをご覧ください。

 

お問い合わせ先


E-mail : mail
電話番号: 045-959-1000(よこはま動物園ズーラシア)