Homeプロジェクト概要現在進行している研究

魚類の飼育実験と展示

1.チームメンバー

日本

亀崎直樹 (神戸市立須磨海浜水族園)
笹井隆秀 (神戸市立須磨海浜水族園)
池田威秀 (京都大学野生動物研究センター)

ブラジル

Jansen Zuanon 博士(INPA)
Tiago Pires (INPA)

2.研究の背景

多くのアマゾン産魚類の生態は謎に包まれています。 特に商業的に重要とみなされていない小型の魚類については、どのような生活をしているのかさえもほとんど分かっていません。都市近郊の小河川に住む小型魚は、水質汚染の影響を受けていることも懸念されています。 また、食料資源にもなる大型魚類は乱獲による絶滅が危惧される種も多く、保全に向けた飼育、繁殖技術の確立が急務です。

3.研究の目的・方法と期待される成果

本研究ではアマゾンの魚類について、主に飼育下での実験からその生態を明らかにすることを目的としています。小型魚については、水質の汚染、特に視覚や嗅覚の刺激によって、魚類の行動がどのように変化するのかを明らかにしたいと考えています。 大型魚類に関しては、幼魚を飼育してその基本的な生態を明らかにするとともに、市場に出回るピラルク等の鱗などから全長や年齢を推定する方法を開発しています。 これらの研究成果は都市開発や人口増加による環境汚染や乱獲の影響を明らかにするとともに、その保全策を探る上で非常に重要となるでしょう。

4.フィールドミュージアム構想に対するインパクト・貢献

マナウスの人たちが周辺に生息する小型魚を見る機会はほとんどありません。フィールドミュージアムのコンテンツとして、科学の森内にマナウスに生息する代表的な魚種を集めた人工河川を展示しようと考えています。また、開発による水質汚染とその影響を直接展示できるような実験水槽を開発、展示する予定です。具体的には電気魚の電気信号をリアルタイムで音響に変換し、定期的に水質を変える水槽などが考えられています。ネグロ川などで顕著なブラックウォーター、本流の濁った水、都市部の汚染された河川等の展示から、アマゾンの多様性とその危機についての教育に力を入れていく予定です。

5.人材育成面でのインパクト・貢献

世界でも先端をいく日本の技術を現地に持ち込むことで、学生および研究者の育成に貢献できると考えています。また、現地スタッフの日本の水族館での研修も予定しています。

写真1.小型魚類の生息地である小川。


写真2.市場で売られている魚。