企画展「アフリカ・南極・ヒマラヤ」

開催場所:京都大学百周年時計台記念館企画展示室

開催期間:2008年8月5日ー10月5日

企画展あいさつ:

1948 年12月3日に今西錦司が幸島の野生ニホンザルの研究に着手しました。第2次世界大戦後わずかに3年のことです。今西に同行したのは当時の京大生であった 伊谷純一郎と川村俊蔵でした。この日をもって日本の霊長類学は誕生したといえます。したがって、本年はその60周年にあたります。その後、10年にわたる ニホンザル研究の蓄積をもって、今西と伊谷は最初のアフリカ調査を敢行しました。野生ゴリラ、ついでチンパンジーに焦点をあてて、人間の社会の進化を理解 しようとしたのです。

じつは同じ1958年に、西堀栄三郎の率いる日本隊が最初の南極越冬に成功しました。また桑原武 夫の率いる京都大学学士山岳会(AACK)の遠征隊が、カラコラムの未踏峰チョゴリザ(7654m)の初登頂に成功しました。今西・西堀・桑原は京都帝国 大学の同級生で山岳部員です。京都大学が探検大学とも称される礎を作った年が1958年だといえるでしょう。本年はその50周年にあたります。

半 世紀前に展開されたアフリカ、南極、ヒマラヤでの偉業を回顧することで、将来を展望したいと思います。学問とフィールドワークの伝統を受け継ぐものとし て、本年4月に、京都大学野生動物研究センターが発足しました。なぜ今西や西堀や桑原は、そうしたフィールドワークを実践して、新たな研究を興したのか。 われわれの世代がかれらから引き継ぐべきものは何か。先人の足跡をたどることで、今一度深く考えてみたいと思います。末尾になりましたが、企画展開催にご 尽力くださった皆様方、とくにご家族の方々に感謝いたします。

京都大学霊長類研究所長 松沢哲郎

京都大学山岳部長 松林公蔵

京都大学野生動物研究センター長 伊谷原一