DNA多型解析により、ニホンザルをはじめとする霊長類の父子判定とそれに基づく社会行動の解析を行い、高順位雄が必ずしも子供を多く残していないなど、霊長類における社会構造の意味を問い直す事実を明らかにしてきました。
サバンナに住むパタスモンキーは、オス同士の戦いに勝ち残った1頭のオスと、複数のメスとで群をつくっています。DNAを調べて父子判定をした結果、群のオスはすべての子供の父親にはなっておらず、戦いに負けたオスにも父親になるチャンスがあることがわかりました。
【性格遺伝子の進化】
ドーパミンやセロトニンなどの脳内神経伝達物質の受容体や輸送体のDNA多型が、ヒトの性格と関連すると言われています。進化過程においてDNA多型が生じてきた様子を調べています。また、身近な動物であるイヌについても、性格に関与する遺伝子を探しています。
セロトニン分子(写真)の輸送体遺伝子のプロモーター領域の多型は、不安を感じやすい傾向と関係があると言われています。