2012年5月15日,熊本サンクチュアリに3人のチンパンジーがやってきました。

- 仲間と暮らすための努力についての報告 -
2012年5月15日、熊本サンクチュアリに新しい仲間がやってきました。
ムサシ、ショウボウ、キャンディーの3人です。
彼らは、アカンボウの時に日本に連れてこられて、およそ30年間、一人で屋内の小さな檻の中で暮らしていました。 30年ぶりの青空、30年ぶりの地面、30年ぶりの大げんか。30年のブランクを取り戻すのは大変です。 これから沢山のことを学んでいかなければなりません。

そんな3人の、チンパンジーらしい暮らしを取り戻すための努力の様子を報告します。
前編にあたる5・6月号, 7月号も、あわせてお楽しみください。

2012.08.01 -

The 79th dayムサシの復活
2012.08.01
ムサシのバランチジウム騒動から少し間が空いてしまいましたが、特効薬のおかげでバランチジウムはすっかりいなくなり、群れ作りを再開させました。8月1日のムサシとシロウの再同居の様子をお知らせします。
これまでもムサシは、緊張感から同居相手を追いかけ回し、叱られて泣く、ということを繰り返してきましたが、またやってしまいました。
穏やかにシロウと挨拶が出来たのは一瞬で、すぐにシロウを追いかけ始めました。初めこそ少し笑い顔をしていましたが、徐々に真顔になり、やがて悲鳴を上げながら走り出しました。シロウも初め少し焦ったようですが、やがて反転し、追いかけてきたムサシの腕に噛み付きました。前歯なので歯形が付いただけなのですが、ムサシの気勢を削ぐには十分でした。 
これで揉め事は収まり、気まずい空気が暫く流れましたが、今回もシロウがムサシに歩み寄り、宥めてくれました。抱き合って和解して、早速遊び始めました。

これまでのムサシなら、顔を少し引きつらせながら恐る恐る遊んでいましたが、今回はよほど嬉しかったのか、シロウの手を引っ張ったり、シロウのお腹や背中をポンポン叩いたり、調子に乗ってシロウが食べようとしたサトウキビをもぎ取ったりもしました。シロウも笑い顔で、怒ることもなくムサシに付き合っていました。
ムサシの本当の楽しそうな笑顔をやっと見ることが出来ました。これでやっとムサシも、サンクチュアリに来て良かったと思ってくれたことでしょう。
一方のショウボウは、ムサシの入院中もシロウ、ジョージとの同居訓練を続け、今ではごく自然に暮らしています。とはいうものの、ショウボウの無表情でマイペースなのは、相変わらずです。
(文:鵜殿俊史)
チンパンジー
ムキになってシロウを追うムサシ
チンパンジー
抱き合って仲直り
チンパンジー
シロウの手を引っ張る
チンパンジー
シロウとレスリング
チンパンジー
シロウのサトウキビを取り上げる
チンパンジー
シロウをひっぱたく
チンパンジー
ショウボウとシロウ(7/23)
The 85th day続・ムサシの復活
2012.08.07
ムサシは、シロウとの同居練習で平和に過ごせるようになったので、8月7日、ジョージを加えることにしました。
ムサシとジョージは、以前仲良く遊んだことがあり、すでに顔見知りになっていたはずです。しかし、ムサシにはそんな常識が通用しませんでした。
ジョージが登場した途端、血相を変えました。一旦はシロウがムサシを宥めたのですが、ムサシは治まらずいつものように悲鳴を上げながらジョージを追いかけ始めました。
しかし、その時のムサシはいつもとは違っていました。追いかけながら何度もシロウの顔を確認し、シロウに抱きつきました。これは、シロウに攻撃の許可を貰い、同時に同盟を結ぼうとする行動です。まずいことに、シロウはこれを受け入れ、ムサシと抱き合いました。その結果、ムサシにシロウが加勢し、二人がかりでジョージを追いかけ回し、最後はシロウがジョージに噛み付きました。
かわいそうなジョージは、何も悪いことをしていないのに、足の指の爪が剥がれてしまいました。
騒ぎが収まり静かになった後で、ジョージはシロウとムサシのそれぞれに、機嫌を取るように挨拶に行きました。

このような理不尽な喧嘩はチンパンジーでは良くあることです。シロウがジョージを攻撃する理由は、「ムサシと同盟を結んだから」、以外にはありません。
ムサシは、以前ジョージにやっつけられたことを根に持っていたのかもしれません。その時は表面上仲良くしましたが、シロウを使って恨みを晴らしたのでしょう。
これこそまさにチンパンジーの社会です。ムサシのチンパンジーらしさが見えた日でした。そして、ムサシが初めて喧嘩に勝った日でした。
(文:鵜殿俊史)
チンパンジー
シロウ(右)に挨拶するムサシ(左)
チンパンジー
ムサシを宥めるシロウ
チンパンジー
ムサシが振り返りシロウに援助を求める
チンパンジー
右から逃げるジョージ、追うシロウ、ムサシ
チンパンジー
ムサシに挨拶するジョージ
The 101st day, 102nd dayキャンディとオウム
2012.08.23, 24
キャンディーの仲間をさらにふやすため、これまでのブラック・サクラ・チコに加えて、新たにニコ・ハルナ・オウムとも顔合わせをすることにしました。 格子越しにキャンディーとメスたちのお見合いを繰り返していますが、なかなかすんなりとはいかないようです。 ニコはキャンディに友好的な行動をほとんど示さず、ハルナ・オウムとキャンディとの間は良い時もあれば悪い時もあるという感じでした。

ともあれ、オウムが36歳で体が小さく前歯がほとんどないメスであることから、 もしオウムとキャンディが喧嘩になっても大きな怪我にはならないだろうと判断し、 8月23日にブラック・キャンディ・サクラ・オウムで同居をさせることにしました。

キャンディとオウムを同じ運動場に出した途端、オウムはキャンディを追いかけ始めました。 オウムが落ち着いた後に、キャンディは怖がりながらも、数回、挨拶しながらオウムに近づき、お尻をオウムに向けました、 それで二頭は仲直りをしました。

この後、さらにブラック・サクラも合流して、4個体で同居しました。 ブラック・サクラを合流した時に争いがありましたが、これでキャンディの仲間がまたひとり増えました。

翌日からは、前日の4個体にさらにチコを加え、5個体での同居がはじまりました。 サクラ、チコは、人が育てたこともあり、他のチンパンジーのことをあまり気にしませんが、野生由来でおばさんのニコ、ハルナ、オウムはそういうわけにはいかないようです。同居から1週間が経ちましたが、まだオウムは完全にキャンデイを受け入れてないようです。暫くは、この群れを安定させながら、キャンディがもっと機敏に動けるようにリハビリを進めていきます。 (文:寺本研)
8/23オウムに追われるキャンディ
8/23オウムに追われるキャンディ
8/23挨拶に行くキャンディ
8/23挨拶に行くキャンディ
8/23キャンディがお尻を見せて仲直り
8/23キャンディがお尻を見せて仲直り
8/23互いにお尻のチェック
8/23互いにお尻のチェック
8/23オウムについて歩くキャンディ
8/23オウムについて歩くキャンディ
8/24後姿のチコを含めた5ショット
8/24後姿のチコを含めた5ショット




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