2012年5月15日,熊本サンクチュアリに3人のチンパンジーがやってきました。

- 仲間と暮らすための努力についての報告 -
2012年5月15日、熊本サンクチュアリに新しい仲間がやってきました。
ムサシ、ショウボウ、キャンディーの3人です。
彼らは、アカンボウの時に日本に連れてこられて、およそ30年間、一人で屋内の小さな檻の中で暮らしていました。 30年ぶりの青空、30年ぶりの地面、30年ぶりの大げんか。30年のブランクを取り戻すのは大変です。 これから沢山のことを学んでいかなければなりません。

そんな3人の、チンパンジーらしい暮らしを取り戻すための努力の様子を報告します。

2012.07.01 - 2012.07.31

The 49th dayキャンディーが、ブラック・サクラと格子越しにお見合いをしました
2012.07.02
キャンディは、運動場へもだいぶ馴れ、高い位置のベッドへも登れるようになってきました。そこで、通路を隔てた居室でブラック、サクラ、チコとの見合いを行い、馴れたところで、ブラック、サクラとの格子越しの見合いを実施しました。ブラックの差し出した指をキャンディが軽く噛んだり(左写真)、サクラの性皮や頭をキャンディが触ったりと(右写真)、良好な関係です。
関係が良好なので、7/3にキャンディとブラックの運動場での同居を行う予定です。ブラック、キャンディの関係が良ければ、これにサクラを加える予定にしています。
(文:寺本研)
チンパンジー
キャンディーとブラック(06/21)
チンパンジー
キャンディーとサクラ(06/29)
The 50th dayキャンディーの群れ作りとムサシ、シロウの同居
2012.07.03
今日、キャンディーとブラックを同居させました。ブラックは長い間メスの群れを統率してきたリーダーで、私たちが全幅の信頼を置いている、41歳の老紳士です。

ちょうど雲が途切れ、久しぶりの太陽が顔を覗かせたとき、キャンディーが待つ運動場にブラックを出しました。直後にキャンディはブラックに抱きつき、それっきり離れなくなってしまいました。手をつないで歩いたり、並んでサトウキビをほおばったり。極めつけは、熱い抱擁とキス。まるで恋人同士でした。
これがキャンディーの初恋なのかもしれませんね。胸が熱くなりました。
チンパンジー
寄り添ってサトウキビをほおばる
チンパンジー
幸せそうなキャンディー
チンパンジー
熱い抱擁
一方、ムサシの群れ作りも進めました。まずムサシとジョージを運動場に出し、そこにシロウを加えました。 
ムサシはシロウと直接会うのが初めてです。シロウを怖がったムサシはジョージに助けを求め、ジョージはムサシにキスをしました。これでジョージが味方をしてくれると思ったムサシは、シロウに突進し、攻撃を仕掛けました。柱の影で見えなかったのですが、少し叩いたようです。

すると、この行動を見たジョージが怒り、ムサシをすごい剣幕で追いかけ始めました。もともとジョージとシロウは仲間です。ジョージが怒るのも当然です。

このジョージの怒りには伏線がありました。シロウが出てくる前に、ムサシは運動場に置かれたバナナやパイナップルを独り占めしようと、ジョージを脅し追い払っていました。ジョージは怯んでいたのですが、シロウの登場で味方を得たジョージは、怒りを爆発させました。
ジョージにさんざん追いまくられ、ムサシはギャーギャー泣きながら、天井の角まで追い詰められてしまいました。やっとそこでシロウが二人の間に入り、ムサシを宥めてくれました。怯えきっていたムサシは、シロウに何度も抱きつき、助けを求めました。これでなんとかムサシの友達が一人増えました。
今日もシロウに助けられました。ムサシはジョージのことがすっかり恐ろしくなったようで、その後近づこうとはしませんでした。明日からは、ムサシとジョージの関係修復が課題になります。
おいしい果物は、置いておかない方が良さそうですね。 (文:鵜殿俊史)
チンパンジー
ジョージに助けを求めるムサシ、手前がシロウ
チンパンジー
シロウを攻撃するムサシ
チンパンジー
追い詰められたムサシ
チンパンジー
ムサシを宥めに行くシロウ
チンパンジー
シロウに抱きつくムサシ
The 51nd day今日のキャンディーとムサシ
2012.07.04
今日もキャンディーとブラックを同居させました。今日もラブラブでした。手をつないで歩き、長い時間グルーミングをしていました。
私がブラックに触れると、「ダメ!」とキャンディに叱られました。ヤキモチを焼いたようです。
ここに他のメスを同居させたらどうなるか、少し心配になってきました。
ムサシは昨日ジョージとの関係が悪くなったので、今日はその二人で暫く過ごして貰いました。ムサシはジョージを恐れ、近づこうとしませんでした。
しかし、格子越しにシロウの姿が見えると、今度はジョージに助けを求めました。シロウよりジョージがマシだったのでしょうか。これで機嫌を直したジョージは、またいつものようにグフフと笑いながらムサシとレスリングをして遊びました。
ムサシは、その後合流したシロウとも少し遊び、今日は平和に群れ作りを終えることが出来ました。

ここ数日は、ムサシの弱虫ぶりが目立っていますが、これが続くとは限りません。相手が弱いとみたら、態度を急変させるのがチンパンジーですから。
(文:鵜殿俊史)
チンパンジー
手をつないで歩く二人
チンパンジー
ムサシに抱きつくジョージ
The 51st, 52nd days今日のキャンディー
2012.07.04 - 05
7/3に同居したブラックとキャンディですが、7/4、7/5に同居を行いました。7/4は、手をつないでの移動やグルーミングが見られ、楽しくてしょうがないブラックのレスリングが激しくなりキャンディを泣かす場面もありましたが、熱い抱擁ですぐに和解しました。7/5は、グルーミングの後、別々の場所で過ごすなど、早くも熱烈さはなくなりつつあります。

ブラックとの同居と並行して、サクラとの格子越しの見合いも2回行い、良好な感でした。サクラとの同居を進めるために、7/5に3回目のキャンディとサクラの格子越しの見合いを行いました。格子越しになった途端に、友好的なサクラに対してキャンディが攻撃を始め、それ以降はサクラが格子に近づかなくなってしましました。思った以上にキャンディが気が強く、攻撃を受けた場合に打たれ弱いサクラが運動場へ出なくなることが懸念されるため、先にチコとの同居を進めることにしました。

7/6にチコとキャンディの格子越しの見合いを行いました。格子越しにばたばたやりあったりしていましたが、友好的な行動も観察され、しばらくは見合いを続行していく予定です。
(文:寺本研)
チンパンジー
手をつないで(07/04)
The 57th daysキャンディーのその後
2012.07.10
さて、キャンディーはブラックと二人っきりでラブラブの生活を送っていましたが、更にメスを加えることになりました。2頭では群れとは言えず、キャンディには最終的にすべてのメスと仲良くなって貰わなければなりません。
最初のメスに選ばれたのは22歳のメスのチコです。チコは人工哺育個体なのですが、結構世渡り上手で、目上のチンパンジーには挨拶が出来る個体です。
格子越しにキャンディとお見合いを繰り返し、十分顔見知りになった後に、運動場で同居させました。
しかし、心配したとおりチコの登場は、キャンディーにとって面白くなかったようです。緊張した面持ちで暫くチコをちらちら見ていましたが(写真1)、 突然飛びかかり、チコの足を引っ張りました。危うく大げんかになるところでしたが、すかさずブラックが二人の間に割って入り(写真2)、 乱暴を働いたキャンディーを叩き叱りました。
それで余計怒ったキャンディーはチコを追いかけ回し(写真3)、再度ブラックが止めに入り、キャンディーをひっくり返しました(写真4)。
その仕打ちが許せなかったキャンディーは、今度はブラックをギャーギャー大声を上げながら追いかけ回しました。運動場を5~6周したころ、とうとうブラックが悲鳴を上げました。「オレが悪かった!」と謝ったようです。すぐにキャンディーとブラックは抱き合い、あっけないほどすぐに仲直りしました。
キャンディーも体力が限界だったようです。すぐに地面にひっくり返り、ハーハーと荒い息を繰り返していました。(写真5)
その後キャンディーとチコは、お互いを無視し合っていました。仲直りはまた次の機会ということになりそうです。
キャンディーにとって、チコは当然邪魔者です。しかし複数の雄と雌が同居するのがチンパンジーの自然な社会です。喧嘩を繰り返しながら、群れの中の自分の位置づけを知っていくんでしょうね。
(文:鵜殿俊史)
チンパンジー
写真1:無愛想なチコ(右)に戸惑うキャンディー(左)
チンパンジー
写真2:間に割って入るブラック(背中)、手前がチコ
チンパンジー
写真3:チコ(手前)を追いかけ回すキャンディー(奥)
チンパンジー
写真4:ブラックにひっくり返されるキャンディー
チンパンジー
写真5:息が上がり倒れ込んだキャンディー
The 64th daysムサシの便から大腸バランチジウムが検出されました
2012.07.17
暫く近況をお知らせできませんでしたが、実はムサシの便から大腸バランチジウムが検出され、その対応に追われていました。大腸バランチジウムは病原性も弱く感染力も弱いので、臨床上問題にされることは少ないのですが、熊本サンクチュアリでは28年前に根絶に成功しており、今更持ち込みたくない寄生虫でした。そのために移動前に3頭の糞便を頂き、検査を行ったほどでした。
いないと思っていたバランチジウムが検出され、ムサシはその日(7月11日)から屋内での一人暮らしをさせています。ショウボウもキャンディも、また彼らと接触歴がある個体も同時に糞便検査を繰り返しましたが、幸いすべて陰性でした。ムサシには投薬を行い、今のところバランチジウムは消えていますが、もうしばらくは観察を続けるつもりです。
  突然ひとりぼっちになったムサシですが、むしろ表情が明るくなり、元気になりました。こちらに来て以来、緊張の連続で疲れていたのかもしれません。
(文:鵜殿俊史)
The 65, 66th days今日のキャンディー
2012.07.18, 19
ムサシの便から大腸バランチジウムが検出され一時中断していた同居を、7/18より再開しました。
同居をする際に扉を開けすぎて、チコが早く出てしまい、突然出てきたチコとキャンディが喧嘩をしましたが、ブラックが仲裁して落ち着きました。その後、お互いにお尻のチェックをしたり、後ろをついて歩いたりして、良好な関係でした。
次の日7/19は、前日よりも良好な関係で、キャンディにチコとブラックがグルーミングをしたりしていました。
(文:寺本研)
チンパンジー
キャンディ&チコお久しぶりです!(7/18)
チンパンジー
キャンディ&ブラックの遊び(7/19)
チンパンジー
キャンディへのチコ、フ゛ラックのグルーミング(7/19)
The 67th, 69th days今日のキャンディー
2012.07.20, 22
7/20、ブラックとキャンディの交渉はあるものの、チコとキャンディの接触は見られなくなりました。
7/22、格子越しのお見合いで、キャンディはのぞきに行っていましたが、チコはまったく無視で人の方ばかりを見ていました。同居させると、すぐにチコとキャンディの喧嘩が始まりました。ブラックが仲裁しましたが、チコの性皮が大きくなっていたので、チコよりの仲裁になっていました。しばらくして、チコの胸にキャンディが顔を近づけ和解しました。次の日7/23は、前日の喧嘩で懲りたのか、キャンディがチコに近づくこともなくなりました。
(文:寺本研)
チンパンジー
キャンディへのグルーミング(7/20)
The 72nd days今日のキャンディー
2012.07.25
サクラの性皮が大きくなり、サクラの気分ものりのりになってきたので、キャンディ、ブラックとの同居を行いました。格子越しの見合いは、お互いに触りあったりして良好な関係でしたので、ブラック、サクラを運動場に出し、これにキャンディを加えました。熱烈な交渉は見られませんでしたが、行進したり、軽く抱き合ったりして良好な関係でした。
今後は、チコ、サクラを交互にキャンディ、ブラックと同居させ、様子がよければ来週にはキャンディ、ブラック、チコ、サクラで同居させる予定です。

(文:寺本研)
チンパンジー
キャンディ&サクラ&ブラック(7/25)
チンパンジー
キャンディ&サクラ&ブラック行進(7/25)
チンパンジー
キャンディ&サクラ(7/25)
The 76-78nd days今日のキャンディー
2012.07.29-31
熊本サンクチュアリに転入以来、性皮の腫脹が止まっていたキャンディの性皮が腫れ始めました。7/29のブラックとの同居時に、ブラックの誘いにキャンディがプレゼンティングで応え、その後に交尾とスムーズに行うことができました。長い隔離があったにもかかわらず、一連の行動がスムーズに取れたことは驚きです。
7/30にキャンディ、ブラック、サクラ、チコの同居を行いました。サクラは順調に同居できましたが、次に出てきたチコがキャンディを無視したためか、キャンディがチコに攻撃を加え、騒ぎとなりました。この日は、和解までいかず、みんなばらばらで過ごしました。
翌日の7/31は、順調に同居でき、少しですがキャンディとサクラ、チコの接触も見られました。

今後は、キャンディ、ブラック、サクラ、チコの同居を続けながら、次のニコとの見合いを進めていきます。
(文:寺本研)
チンパンジー
キャンディ、ブラック、サクラ、チコ闘争(7/30)
チンパンジー
キャンディ、ブラック交尾-誘い(7/30)
チンパンジー
キャンディ、ブラック交尾-プレゼンティング(7/30)
チンパンジー
キャンディ、ブラック交尾-交尾(7/30)
チンパンジー
キャンディ、ブラック交尾(7/30)
チンパンジー
キャンディ・ブラック・サクラ・チコ(7/31)




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