チンパンジーについて

About Chimpanzees

チンパンジーについての基本的な情報を掲載しています。

チンパンジーとヒトは約500万年前に共通の祖先からわかれました。

ヒト科チンパンジー

私たち人間(ヒト)は「霊長類(れいちょうるい)」と呼ばれるサルたちの一員です。その霊長類のなかに、ヒト、チンパンジー、ゴリラ、オランウータンを含む ヒト科という区分があります。 昔、ヒトとチンパンジーは同じひとつの生きものでした。それがおよそ500万年前に枝分かれして、現在のようなヒトとチンパンジーになっていきました。 500万年前というと、途方もなく昔のことのように聞こえるかもしれませんが、生命が誕生してからの約40億年間では、つい最近のことです。ヒトとチンパンジーはとても長い間同じ生き物だったわけです。

進化の過程でもっとも近いお隣さんであったチンパンジーのことを『進化の隣人』と呼ぶことがあります。 遺伝子情報の点でもその点は明らかで、ヒトとチンパンジーのDNAの塩基配列は98.8%が同じでした。 ヒトとチンパンジーの差は、ウマとシマウマの差よりも小さいのです。 ヒトは98.8%チンパンジーであり、チンパンジーは98.8%ヒトなのです。 チンパンジーは1頭2頭と数えるよりも1人2人と数えるほうがふさわしい、その実感から、このウェブサイトではチンパンジーを「1にん、2にん」と数えています。

ギニア・ボッソウ村の野生チンパンジーの群れ。 ギニア・ボッソウ村の野生チンパンジーの群れ

チンパンジーの社会

チンパンジーの群れは、複数のオトナオス(13~15歳以上)と複数のオトナメス(12~14歳以上)、ワカモノ、コドモ(5~8歳)、アカンボウ(0~4歳)を含む20~100人で構成されています。その集団は1~数人の小集団が合流したり分裂したりする離合集散をくり返し、ときには大きな集団になることがあります。集団構成の規則制はなく、いつも一緒に行動するのは母親とアカンボウ、コドモだけです。

メスは9~11歳になると生まれた群れを出て、別の群れに移籍します。 オスはオトナになっても生まれた群れにとどまり、父系社会を形成します。 オトナのオスたちは行動域の周辺をパトロールをするなど、群れの安全を守ります。
群れ同士は非常に仲が悪く、自分とちがう群れと殺し合いになることもあります。

熊本サンクチュアリでのチンパンジー・グループ 熊本サンクチュアリでのチンパンジー・グループ

サンクチュアリでの社会生活

熊本サンクチュアリでは2020年12月現在、 11歳から50歳までの、50にんのチンパンジーがいます。それぞれ、 2~15にんのグループで生活しています。複雄複雌群の形成と離合集散できるような環境づくりを目指しています。

熊本サンクチュアリ長老チンパンジー・レノンの敬老会 ボッソウの高齢チンパンジー。老眼のため目を離して娘の毛づくろいをしている

チンパンジーの寿命

野生下では40~50年といわれています。 ギニア共和国ボッソウの野生チンパンジーの群れでは、高齢化がすすみ50歳以上のチンパンジーが群れの大半を占めるようになりました。 彼らがまわりをサバンナと人間が作った畑に囲まれて孤立していた森でくらしていて、他の森に住んでいるチンパンジーと行き来することがないためです。

日本国内の飼育下だと、 平均寿命は28.3歳、※1歳未満で死亡した個体を除くと平均34.6歳、無事に大人になった個体のみだと平均40.4歳です。 2019年に亡くなった神戸市立王子動物園のジョニーの推定69歳が、国内の最高齢記録です。

熊本サンクチュアリ長老チンパンジー・レノンの敬老会 長老チンパンジー・レノンの敬老会

サンクチュアリのご長寿

熊本サンクチュアリのチンパンジーでは、50歳の男性レノン(推定1970年生まれ)が最年長です。 敬老の日には毎年、更なる長寿を願って敬老会をひらきます。

果実を食べる野生チンパンジー

チンパンジーの食事

野生のチンパンジーは果実、葉、植物の髄や樹液、小型の哺乳類、鳥類、昆虫などを食べます。 地域によっては、 ナッツを石で叩き割って中の核を取り出して食べることや、 大きなパパイヤの実を取ってきて「贈り物」に使うことや、 葉っぱを使ってヤシ酒を飲むことも、わかっています。

サンクチュアリでの食事

時間をかけて採食できるように、さまざまなフィーダーを設置しています。詳しくはエンリッチメントのページをご覧ください。 
1日の食事量は野菜や果物、木の葉、種子、固型飼料など、大人で約2500kcalを基準にしています。

石でヤシの実を割る母親チンパンジー、それを間近で観察している子どもチンパンジー 石でヤシの実を割る母親チンパンジー、それを間近で観察している子どもチンパンジー。 (ギニア、ボッソウにて撮影)

チンパンジーの母と子ども

子どもは4歳になるまでは母親に世話され、夜も同じベッドで寝ます。
母親の道具の使い方を間近で観察し、母親の道具に手を触れてみたり、その道具で遊んだりすることで次第に道具の使い方を学んでいきます。 また、弟や妹が生まれると熱心に面倒を見て、子育ての仕方を学びます。 出産後に発情周期を取り戻した母親の交尾を子どもが邪魔したりすることがありますが、 幼い子どもにはオスも寛容です。
子どもはこのようにして母親のすぐそばでさまざまなことを学びます。
子ども同士で遊んでいるとき、遊びが過ぎて喧嘩になってしまうと、それぞれの子どもの母親同士の喧嘩に発展することもあります。

サンクチュアリでの母と子ども

サンクチュアリでは繁殖をおこなっていないため、現在幼い子どもはいませんが、大人になった息子と母親が一緒に生活しています。

チンパンジーの基本的生理値

ここでは熊本サンクチュアリでのこれまでのデータを掲載しています。
体重(10歳以上)
♂:平均55.0kg(n=782、36.6-80.5)
♀:平均48.7kg(n=1260、23.6-78.8)
座高(10歳以上)
♂:平均81.2cm(n=135、69.7-92.2)
♀:平均78.3cm(n=157、61.1-89.5)
性成熟 ♂:6~8歳
初潮 ♀:8.3歳(n=23、7-11)
月経周期: 36.3日 (n=162)
妊娠期間: 平均229.4日(n=84、181-250)
出生時体重: 1792.7g(n=74、930-2400)
ABO血液型: A型 95.6% O型:4.4%

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