ランタンプラン・ニュースレター

No.26  2005.2.9

<ランタン村最新情報と緊急のおねがい>

先日4日、「非常事態宣言」下のネパールから東京新聞写真部の戸上航一さんが帰国されました。戸上さんは4年前にもランタン村を取材、新聞(中日新聞)に大きくランタンプランの活動を掲載いただきました。今回も数日のみでしたがランタン村を訪問され、この報告は2月?3月の東京新聞月曜版に掲載されるようです。要チェック、です。
戸上さんからはランタン村で進めている「チュダー・チュ拡大プロジェクト」その後の概要とLTBS(ランタン公民館開発委員会)からのメッセージを受け取りました。以下にご報告します。

ネパールの今、実はこの7日に私も出発の予定でした。2月1日、国王による全権掌握以来通信も遮断、報道言論の管制と公民権の停止と本当に近代以前の社会に逆行してしまったような状況が続いています。7日夜から電話/メールなどの通信手段はおそるおそる解除されましたが、予断を許さない状態です。学生のリーダーや主だった政治指導者たちは、多くが軟禁もしくは勾留状態、その他は地下にもぐっています。「非常事態宣言」の2分後には、通信報道の管制が布かれ、国王軍と武装警官がガードする首都に一変しました。ある友人は、これは90年前後の民主化運動の動きに酷似していると観測しています。10日には、ネパールの24の人権団体がクーデター後初めてのデモを予定しています。これに国王の政権が圧力を加えるようなことがあった場合、国際世論の非難は必至でしょう。マオイストも13日から無期限のストを呼びかけています。
どこへ行くのか、ネパール?!
2月9日からチベット正月(Losar)、本当ならカトマンドゥでテンバ一家や旧知のチベット人たちとお祝したかったのに…。

あっぱれチェンガたち!


サイト1: 導水管上部から雪の村を望む


サイト2: 受水口


サイト3: 発電小屋。背後に全長150メートルに延長された導水管が見える。黒い部分が延長分。


戸上さん撮影の写真をごらんください(site1、 2 、3)。昨年3月、LTBS(ランタン公民館開発委員会)はこれまで懸案事項だった乾期の電力不足→電気料金の徴集不能というジレンマを解消しました。聞いてはいたものの、サイトの写真を見ると、「やったね、チェンガとニマ!」と言いたい。
導水管を繋ぎヘッドを更に40メートル上方へ延長し(落差部分110m、全長150mとなった)、新たな場所に受水口を設置しています。1月末とはいえ水量もかなりあることがわかります。水源は氷河の融水ではなくて湧水でしょうか?これまではこの時期、この沢は凍結状態だったと思っていたのですが。
それにしてもすごいアクロバティックな工事であったことが容易に想像できます。これによって、この時期水量不足で電球もフィラメントが透けてみえるようだったのが、通常の明るさを保ち、電気料金の支払拒否もなくなったようです。戸上さんが宿泊された宿屋には、テレビが備え付けられていたそうです。すごいですね。

このように、自分達で工夫して電力確保をはかるというのは、技術もさることながら、電気はもうこの村になくてはならない、生活の一部になっているということではないでしょうか?近郊の村では、大水や土地の崩壊、機械の故障などで放置されたままという報告も聞いています。ランタンは他の場所と比較しても、決して立地に恵まれているとは言えません。メンテナンスには時間もお金もかかります。運営内容の数字の報告はまだ受けていませんが、システムの維持管理については充分ではないでしょうか。
チュダー・チュ拡大プロジェクトその後
ニュースレター25で報告したように、現在利用している水源及びブランツァン方面からの水を集めたチュダー・チュ下方の新たなサイトで出力15kwを目指しています。
この新たなパワーアップの目的は、現存のシステム(6kw)では乾期に充分な電力が得られないという理由からでした。この点が解消された今、なぜ?という疑問もわいてきます。戸上さんの報告では、LTBSは余剰電力をさらに薪に代わる熱源に利用することを計画しているようです。電気の導入によって既に薪の使用量が30%減少(細かな数字のメモをなくした)、これを50%までに減らすことを目指しているそうです。具体的には電気炊飯器や電熱器の導入。これによって薪の使用量の減少と労働の軽減を図ろうというのです。工事は基礎部分が完了、ネパール・ヤントラシャラに注文したシステムも間もなく完成するようです。3月には据え付け工事が始まります。

この拡大プロジェクトの総工費は、Rs.2,556,005、日本円にして335万円。
これまで彼等が集めた資金は、
英ネ・エネルギー協力事業団…….. 1,181,250ルピー
その他の外国NGOからの支援… 1,000,000ルピー
ネパール環境保全委員会…………… 130,000ルピー
ランタン村から………………………… 100,000ルピー
合計…………………………………… 2,411,250ルピー

不足分………………………………… 144,755ルピー
LTBSからの手紙には、この不足分14万ルピー(日本円にして20万円)の拠出をランタンプランに求めています。問題は、工事の規模や見積もりが違っていたものの、ランタンプランは既に「拡大プロジェクト」の為に30万ルピー(当時の額で62万円/ニューズレターN0.24)拠出しています。それがどのように使われたのか?事後承諾になってしまいましたが、このお金は1万ルピーを残して2002年からの累計赤字(3人分の給料分)の補填に使われました。2003年、ランタン村からとカトマンドゥから電話がありました。「ずっと給料が支払われていないけど、あのお金を使って良いか?」という問い合わせでした。事務局の幸島さんと話し合って、後で補填するのであれば、使っても良いと返事しました(ニューズレター25に少し触れました)。
私の見積もりでは、電気料金がきちんと支払われれば、給料分にはなると想定していたのです。しかし実際には不払いと冬期の電力低下でその半分も回収できなかったのです。3人いた専従の技師(チェンガ、ギャルボ、ニマ)のうち、ギャルボは2003年春に辞めました。


パワーハウスで。送電開始!


村の入口に設置された衛星電話パラボラアンテナ(現在端末が故障中)


<緊急にお願い>

いかがでしょうか?会員のみなさま。この不足分を全額とはいかないまでも、少し援助してやりたいのですが。ランタン村を訪問された戸上さんのお話では、オフシーズンとはいえ、この時期、ランタントレッキングルートは彼の一行の貸しきり状態だったそうです。このネパールの政情不安で観光客の数も減り、村は深刻なダメッジを受けているはずです。彼等を励ます意味で、あと一押しお願いしたいと思います。彼等もがんばっているのですから。甘い!と言われそうですが、伏してお願いしたいと思います。

チベット正月に 貞兼綾子
LTBS運営スタッフも交代しました。その詳細や新しい経営プランなどは次号でお知らせします。


☆今後の活動予定とカンパのお願い

貞兼代表の報告にもあるように、LTBSは自力でシステムの改良と新プロジェクトの立案と進行を成し遂げたものの、ネパールの政情不安の影響もあり、チュダー・チュ拡大プロジェクトの完成を目の前にして、窮地に追い込まれています。代表の緊急アピールに賛同された皆様からのカンパや御寄付を、ぜひお願いいたします。LTBSの活動状況や現地の様子など、これからも随時ご報告させていただく予定です。

  振込先:ランタンプラン 郵便振替 01040−4−51106



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