桐には,3種類の微細構造{皿状器官,腺毛,樹枝状毛}が存在することが分かりました。
皿状器官は,直径約0.3mmで,このように皿に似た組織です。この器官は,桐の葉の表面や,茎,花の実やがくに分布していました。調査の結果,皿状器官は糖を含む液体を分泌することが明らかになりました。また,アリ等の昆虫がこの分泌液をなめる行動が観察されることから,アリ等を利用した捕食者対策と関係した器官である可能性があります。
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皿状器官が液体を分泌している様子 |
アリが葉の皿状器官をなめている様子 |
腺毛は,長さ約0.2〜0.7mmの中空毛状組織で,先端から粘性の高い液体を分泌します。腺毛は,葉の表面や茎,花びらや実の表面に存在しています。樹枝状毛は,約0.3mmの半透明または黄色の毛状組織で,葉や茎,がくや花芽の表面に存在します。腺毛や樹枝状毛にトラップされたアブラムシ等の昆虫が観察されることから,植物体上での捕食者の活動を妨害する機能を持つ可能性が考えられます。
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アブラムシが腺毛にトラップされている様子 |
アブラムシが樹枝状毛にトラップされている様子 |
これら,3種の微細構造は,葉の成長段階によってその数や活性が変化することが明らかになりました。
また,桐には大きさや形,皿状器官の分布様式が異なる4タイプの葉が存在することが分かりました。4タイプの葉は,枝(シュート)の異なった位置,時期に展開することが分かりました。小型葉と花芽葉は表面の皿状器官の密度が有意に高いこと,展開する時期が花芽の形成時期と重なり,花芽の基部に展開することから,この2タイプの葉は花芽を保護するための機能をもつ特殊化した葉であることが考えられます。
(●は皿状器官の分布を示しています)
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標準葉 |
小型葉 |
No.1葉 |
花芽葉 |
以上は成木に関する内容です。幼木の場合は微細構造の分布などが異なります。
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