飼育下ハンドウイルカの活動日周期と休息的行動について:イルカは夜ねるか?

関口雄祐・幸島司郎 (東工大・生命理工)

いったいイルカは大海原でいつどうやって寝ているのだろうか?休息時のイルカの行動に関しては、静かな入り江でじっとしている・円状に隊列を組み一方向に泳ぎながら脳を半分ずつ休ませているらしいなど、断片的報告はあるものの、あまり良くわかっていない。そこで、ハンドウイルカ飼育個体を対象に、活動日周期と休息時の行動に注目して観察を行った。遊泳速度と呼吸頻度(水面への呼吸浮上間隔)を「活動度」の指標として分析した結果、活動度は日中高く深夜から早朝にかけて集中して低下する例(集中型)が多いものの、日中夜間を問わず短い活動度低下期間が多数現れる例(分散型)も見られた。活動度が低下したときに見られる行動を「休息的行動」と判断すると、休息的行動は以下の三型に分類された:1)ベタ寝;水底に沈んで動かない。2)プカ寝;水面に浮いたまま動かない。3)スー泳;ゆっくりと一方向に泳ぐ。集中型か分散型か、また3型の休息的行動のうち、どの型で「ねる」のかは同一個体でも大きく変化した。飼育環境との関係、高活動度時の行動などに関しても報告する予定である。


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