西部タンザニアにおける野生動物保全研究

JSPS 研究拠点形成事業(B.アジア・アフリカ学術基盤形成型)

研究交流目標

本研究では、多様な動植物に恵まれている西部タンザニアにおいて、日本およびタンザニアを中心とした研究チームによる長期研究体制を確立し、野生動物の基礎研究を推進すること、ならびにそうした基礎研究から得られた成果をもとにこれらの野生動植物を効果的かつ持続的に保全する具体的計画を立案し提言することを目標とする。
現在は西部タンザニアにおいてはタンザニア人研究者による野生動物研究がほとんどなされていないのが実情であるが、この地で長期研究を継続してきた日本人研究者の指導の下、タンザニア人研究者や学生ら自身が主体的に研究を展開できる土壌を整え、タンザニア野生動物研究所(以下TAWIRI)と京都大学野生動物研究センター(以下WRC)、およびそれぞれの関連研究機関との間の有機的ネットワークを拡充し、強化する。

研究交流計画の概要

(1)生息地において、生息種の把握、動物の分布と密度推定、人為的攪乱の有無の把握、個体群動態の長期モニタリング体制の確立をおこなう。

(2)セミナー等学術会合の開催
本事業開始後すぐに京都大学WRCにおいてセミナーを開催し、プロジェクトに関する意見交換を通じて実効力のある研究計画を立案する。その後、定期的にセミナーを開催し、成果発表と意見交換をおこなって、計画をより適切かつ実践的に修正する。その上で、双方で協力して独自のワークショップや公開セミナーを開催し、より広い分野の専門家から研究成果に対する意見を集約する。また、研究成果は国際学会やシンポジウムで共同発表するとともに、共同研究論文として国際学術誌で公表する。これらの学術会合を通じて、将来的な展望についても検討していく。
また、保全計画の立案に不可欠なGIS(地理情報システム)や非侵襲的なDNAサンプリングおよびそれらのデータ解析についての講習をおこなう。さらに、保全計画立案に際しての意見聴取や交渉の進め方についての講習をおこなう。

(3)日本の大学院生、ポスドク研究員など若手研究者や動物園飼育員をタンザニアに派遣し、現地で野生動物を対象としたフィールドワークの研修をおこなう。一方、タンザニアから派遣されてくる研究者には、フィールドワーク研究の基礎、GIS解析、DNAサンプル採取・分析等に関する技術習得のための研修をおこなう。